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まいにちボードゲーム

日本ではゲームといえばテレビやスマホがメインですが、近年、対面で行う非電源ゲームも注目を集めています。人気のボードゲーム・カードゲームを紹介します。

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アグリコラ 17世紀の農民はつらいよ

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農場経営ゲームの傑作「アグリコラ」(写真はいずれもリバイズドエディション) 拡大
農場経営ゲームの傑作「アグリコラ」(写真はいずれもリバイズドエディション)

 現代ボードゲームの一大ムーブメントとなっているメカニクスが「ワーカープレースメント」。「ワーカー(労働者)」をアクションスペースに「プレース(置く)」ことによってゲームを進めていきます。基本的にワーカーを置くのは早い者勝ち。「他のプレーヤーが置く前にあそこに置かないと」「今はそんなにやりたくないアクションでも相手を邪魔するためには」など。プレーヤー間に濃密な駆け引きが生まれます。ワーカープレースメントを主軸とした作品は無数にあり、数回にわたって紹介していきたいと思います。

ワーカープレースメント①

畑で小麦や野菜を育て、柵で囲った牧場で家畜を飼う「アグリコラ」。自分の箱庭が充実していく感覚がうれしい 拡大
畑で小麦や野菜を育て、柵で囲った牧場で家畜を飼う「アグリコラ」。自分の箱庭が充実していく感覚がうれしい

 最初のワーカープレースメントゲームは、「ケイラス」(2005年初版)など諸説ありますが、このメカニクスを一躍有名にした代表作が「アグリコラ」です。舞台は17世紀のヨーロッパ。「アグリコラ」とはラテン語で「農民」を意味しますが、その名の通りプレーヤーは農家として畑を耕し家畜を飼い、一族の繁栄を目指します。

 最初は木造の部屋二つと夫婦2人のワーカーでスタート。手番がくると、ワーカー1人をいずれかのアクションスペースに置いていきます。木やレンガなど基本的な材料や畑、家畜などの家産がもらえたり、部屋を増やしたりするなどさまざまなアクションを選べます。麦畑を懸命に耕すのもよし、羊やイノシシ、牛を飼って大牧場を目指すのもよし。

ワーカー増やせばアクション数が増えるけど

アクションスペースは早取りが基本。他人がワーカーを置いた場所は、次のラウンドまで使えない 拡大
アクションスペースは早取りが基本。他人がワーカーを置いた場所は、次のラウンドまで使えない

 ラウンドが進むたびアクションスペースが増えていくのですが、ワーカーが2人ということは1ラウンドに2アクションしかできません。そこで、「子供をつくる」というアクションスペースにワーカーを置くとあら不思議。子供が生まれて次のラウンドから働かせることができます。喜んでばかりもいられないのがこのゲームのつらいところ。数ラウンドに1回収穫があるのですが、その際ワーカー1人あたり食料2を配給しなければなりません。

 食料を配ることができなければ大きなマイナス点になるので、食料供給サイクルをどう構築するかがポイント。小麦はそのままでは食料1にしかなりませんが、「かまど」があればパンを焼いて2食料にできたり、「調理場」があればイノシシを3食料に換えられたり。それでも食料事情は厳しく、働いても働いても家族を養うのは大変だなとじっと手を見ることになります。

カードの力も借りて

ワーカーを置くことでさまざまなアクションを実行できる「ワーカープレースメント」が「アグリコラ」の基本メカニクス 拡大
ワーカーを置くことでさまざまなアクションを実行できる「ワーカープレースメント」が「アグリコラ」の基本メカニクス

 では「かまど」や「調理場」はどうすれば設置できるのか。「大きな進歩」「小さな進歩」「職業」の3種類のカードがゲームを彩ります。先述の「かまど」は「大きな進歩カード」に含まれ、該当するアクションスペースにワーカーを置き、コスト(レンガ2~3個)を支払えれば自分の前に出すことができるのです。小さな進歩カード、職業カードもなんらかの利益が得られ、うまく組み合わせることでゲームを有利に進めることができるようになっています。

 初版では300枚近いカードが用意されていましたが、バランス調整された「リバイズドエディション」では120枚に減りました。それでも1ゲームに登場するカードは1人14枚の配り切りなので、毎回ゲーム展開が変わります。拡張カードも発売されており、一生遊べる箱庭ゲームの傑作でしょう。カードをなくした「ファミリーバージョン」や、牧畜に絞った2人専用の「牧場の動物たち」もあり、間口が広いのも魅力です。

短時間で楽しめる「ミントワークス」

手のひらに乗る「ミントワークス」。サイズは小さいが、本格的なワーカープレースメントが楽しめる 拡大
手のひらに乗る「ミントワークス」。サイズは小さいが、本格的なワーカープレースメントが楽しめる

 とはいえルール説明を含めると2時間近くかかる「アグリコラ」。ワーカープレースメントの魅力を短時間で味わえる「ミントワークス」はいかがでしょう。手のひらサイズの箱で持ち運びもしやすく、初心者にも早取りのジレンマが手軽に楽しめます。

白いミントタブレットがワーカーの代わり。やりたいアクションを選んで建物を建てていく 拡大
白いミントタブレットがワーカーの代わり。やりたいアクションを選んで建物を建てていく

 ルールはシンプル。建物を建築して勝利点をたくさん取れば勝ちです。ミントタブレット型のワーカーを配置したりコストとして支払ったりしながら、「仕入れ先」から計画カードを得て、「建築業者」に建物を建ててもらいます。3人戦なら「仕入れ先」や「建設業者」に置けるワーカーは2人まで。ならばと次のラウンドのスタートプレーヤーとミント1個がもらえる「リーダーシップ評議会」に置くという手も考えられますね。どこで我慢(ボードゲーマーの間では「しゃがむ」と言います)してどこで勝負に出るか。他のプレーヤーの思惑を推測しながら、自分の計画を進める。小さいながらも実力十分の作品です。

 ワーカープレースメントは筆者のお気に入りのメカニクス。次回はワーカーのパワーに差を付けた作品を紹介します。【野地哲郎】=次回は5月8日掲載

「アグリコラ リバイズドエディション」データ

 1~4人用◆所要時間1人あたり30分◆12歳以上対象◆ウヴェ・ローゼンベルク作◆2007年初版(リバイズドエディションは2016年)

「ミントワークス」データ

 1~4人用◆所要時間10~20分◆13歳以上対象◆ジャスティン・ブラスク作◆2017年初版

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