特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

米国とイラン核合意 妥協点模索し早期復帰を

 イラン核合意の立て直しを目指す米国とイランによる交渉が始まった。トランプ前米政権が2018年に合意から離脱して以降、両国による初の話し合いだ。

 合意は15年、国連安全保障理事会の常任理事国である米英仏露中にドイツを加えた6カ国とイランの間で結ばれた。これに基づきイランがウラン濃縮度を3・67%に抑えた見返りに、各国が経済制裁を解除した。

 しかしトランプ政権は、それではイランの核開発を止められないとして、合意から一方的に抜け、経済制裁を復活させた。反発したイランはすでにウラン濃縮度を20%に高め、さらに60%に引き上げることを表明している。核兵器開発も容易になる水準だ。

 今回、米国とイランは直接ではなく、それぞれが残る5カ国と協議した。二つの専門部会の設置を決め、米国の制裁解除と、イランが取るべき措置の2点について協議を続ける。

 だが、イランは制裁の即時解除が先決だと主張して譲らない。これに対し米国は、イランが核開発を合意水準に戻すことを復帰の前提とし、双方の溝は深い。

 両国は国内に、合意に反対する勢力を抱え、安易に妥協できない事情がある。米国の同盟国であるイスラエル、サウジアラビアは合意復帰に反対している。

 イランは先月、中国との間で25年間の経済・安全保障の協力協定を結んだ。制裁による打撃を和らげられるとの期待から、核合意への熱意が薄れている。

 合意を無視してイランが核開発を進めれば、周辺国も開発に乗り出す危険がある。地域の緊張は高まり、核拡散防止条約(NPT)体制が揺らぐことになる。

 国際社会が協調してイランの核開発に歯止めをかけられるかどうかは、北朝鮮の核問題に対する試金石ともなる。

 6月にはイランの大統領選挙が予定されている。穏健派のロウハニ大統領に代わり、反米強硬派の大統領が生まれる可能性が高い。そうなれば、妥協の余地が狭まるだろう。

 残された時間は少ない。米国とイランが早急に妥協点を見いだせるよう、日本を含め各国は外交努力を強めるべきだ。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

注目の特集