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影山貴彦のテレビ燦々

同志社女子大学メディア創造学科教授・影山貴彦さんがつづるテレビにまつわるコラムです。

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影山貴彦のテレビ燦々

今の私たちに深く響く「流行感冒」 最も大切なのは寛容の心

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 <影山貴彦のテレビ燦々(さんさん)>

 志賀直哉の小説「流行感冒」がNHK BSプレミアムで、10日にドラマとして放送されることを知り、数十年前に読んだはずの小説を読み返した。恥ずかしいことに、ほとんど内容を覚えていなかった。約100年前、世界的に流行し多くの死者を出した「スペイン風邪」。日本でも約2400万人がかかり、40万近くの人が亡くなった。想像を絶する数だ。

 ちなみにその大流行から数年後の関東大震災では、10万人以上の尊い命が失われた。人間は何と忘れやすい生き物なのか。自分たちが大きな災害を経験し、初めて過去の悲劇に目を向け始める。新型コロナウイルスは、紛れもなく人類にとって歴史的な災害だ。「流行感冒」を読んで、今の私たちとあまりに相似することに驚くとともに、小説の力を改めて思い知らされた。

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