電力会社vsカラス 取っても取っても巣が…停電で新幹線も遅れる

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上空約12メートルの地点でカラスの巣を撤去する作業員=秋田市雄和芝野新田で2021年4月15日午前10時43分、猪森万里夏撮影 拡大
上空約12メートルの地点でカラスの巣を撤去する作業員=秋田市雄和芝野新田で2021年4月15日午前10時43分、猪森万里夏撮影

 秋田県内で、繁殖期を迎えているカラスに電力会社が頭を悩ませている。電柱上に作られたカラスの巣が電線などに触れると停電を引き起こすからだ。送配電を担う「東北電力ネットワーク」(本社・仙台市)によると、2021年に県内で起きたカラスの巣が原因の停電は4件(14日現在)で、延べ1831世帯に影響が出ている。

 県内では、3月25日にJR秋田駅の構内でカラスの巣による停電が起き、新幹線などに遅れが出るなど、市民生活にも影響が及ぶ。同社によると、今年県内では既に1063個(14日現在)の巣を撤去。20年も3095個に上った。

 カラスは繁殖期にあたる3~7月に巣を作るが、卵やひなが入っていると鳥獣保護法の規定で許可なく撤去できず、巣立つまで手をつけられない。そのため、見つけた場合は迅速な対応が必要になる。

 巣の除去作業に同行してみた。

 15日午前10時半ごろ、秋田市雄和芝野新田にある1本の電柱の横に同社の黄色い高所作業車が横付けした。その電柱の上には、電線をつなぐ部分にカラスの巣が一つある。

 黄色いヘルメットをかぶった2人の作業員が車に乗り込み、ゆっくりとカラスの巣と同じ、高さ12メートルまで上がる。電気を通さない素材で作った約1・5メートルの工具を2人で操りながら、カラスの巣を注意深く持ち上げ、袋の中に手際よく入れた。

撤去したカラスの巣(直径約30センチ)。材料は木の枝や枯れ草、羽毛=秋田市雄和芝野新田で2021年4月15日午前10時49分、猪森万里夏撮影 拡大
撤去したカラスの巣(直径約30センチ)。材料は木の枝や枯れ草、羽毛=秋田市雄和芝野新田で2021年4月15日午前10時49分、猪森万里夏撮影

 巣は、周辺からかき集めたとみられる木の枝や羽毛、乾燥した草などでできており、直径は約30センチ。早いものだとカラスは1日で完成させるという。巣の材料として、家庭から捨てられた電気を通しやすい針金のハンガーをくわえて巣に運び、使うことも多い。これらが送電線や接続部分に接触することで漏電し、停電を引き起こす。

 同社は巣を作らせないよう、反射材を使った風車やプラスチック製の針を電柱に取り付けるなどの対策を打ち出す。だが、カラスは一度安全だと学ぶと慣れてしまい、そのすぐ横に巣を作ることもあるという。

 この日現場の監督を務めた佐藤公夫(きみお)技術長(54)は「今年は暖かかったからか、例年より巣を作る時期が早かった。もし電柱に巣を見つけたら、連絡してほしい」と話す。

 問い合わせは同社(0120・175・366)。【猪森万里夏】

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