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あした元気になあれ

小国綾子記者の「元気」を追いかけるコラム。

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あした元気になあれ

本を贈ること 祈ること=小国綾子

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小学校の恩師にもらった本。奥付には自分で記入した「昭和59年10月13日」の文字。高校3年の秋、まだ進路に迷っていたころだった
小学校の恩師にもらった本。奥付には自分で記入した「昭和59年10月13日」の文字。高校3年の秋、まだ進路に迷っていたころだった

 この春高校に入学しためいっ子に一冊の本を贈った。「キャラメル色のわたし」(シャロン・M・ドレイパー作)。黒人のパパと白人のママが離婚し、両親の家を行き来して暮らす、ピアノの好きな少女が主人公だ。アイデンティティーに悩む少女の物語を通して、世界の社会問題と自分とが地続きだと感じてくれたら、と選んだ。

 振り返れば、私自身が本の贈り物に支えられてきた。進路に迷っていた高校3生の時、偶然再会した小学校時代の担任の先生に「あげるよ」と手渡されたのが教育哲学者、林竹二さんの「問いつづけて」だった。その教育哲学にすっかり感激した私は教育学部に進学。大学時代はその本を出した径(こみち)書房に通い、数々の忘れがたい出会いに恵まれた。しかも30年近く後、その出版社から自著も出したのだから、人生は不思議だ。

 アーサー・ランサムの「ツバメ号とアマゾン号」シリーズ全12巻は、同じものを愛読していたことがうれしくて、大学の時、友人と2人でお金を出し合って買った。しばらく半分ずつ持ち合っていたが、ある日「あやちゃんにあげる」と彼は自分の分を私にくれた。背表紙を見るたび、6年前に他界した彼をしのぶ。今も宝物だ。

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