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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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原発事故で大熊から移転、精密部品加工会社 恩返しの「くし」

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1日から販売が始まった「あいくし」=福島県会津若松市で2021年4月1日、三浦研吾撮影 拡大
1日から販売が始まった「あいくし」=福島県会津若松市で2021年4月1日、三浦研吾撮影

 東京電力福島第1原発事故で福島県大熊町から会津若松市に製造拠点を移した精密部品切削加工会社「サンブライト」や地元企業など7社で結成したものづくりチーム「Aid―U」(エイドユー)が、初の製品となるくしを作り、今月から販売を始めた。会津の伝統工芸と加工技術を融合した県産品の完成に、チーム代表でサンブライト社長の渡辺忍さん(48)は「受け入れてくれた会津への恩返しの思いを込めた」と語った。

 サンブライトは、1991年創業。原発事故を受け、渡辺社長は「廃業も頭をよぎった」。だが、2011年12月に会津若松市内に工場を移転。会津地方で事業を進める中で、会津のものづくり技術の高さを実感し、一緒に何かできないかと昨秋、漆塗装業者や桐製品製造会社、会津木綿の織元などとチームを作った。チーム名は「あなたを助ける物、人に優しい物を作ろう」との思いを込めた。サンブライトは、19年の台風19号で田村市内の工場が被災する困難もあったが、構想から2年で販売にこぎ着けた。

 くしは会津の「あい」の字を借り、「あいくし」と名付けた。フレーム部分に独特の丸みを持たせ、長持ちするようマグネシウム合金を使った。蒔絵(まきえ)を施し、はがれにくい漆を塗り、会津木綿で包むなど会津の伝統工芸を生かした。

「あいくし」をPRするサンブライトの渡辺忍社長=福島県会津若松市で2021年4月1日、三浦研吾撮影 拡大
「あいくし」をPRするサンブライトの渡辺忍社長=福島県会津若松市で2021年4月1日、三浦研吾撮影

 サンブライトの社員は67人のうち50人以上が会津出身者で、渡辺社長は「会津に来なければできなかった。会津の良さを知ってもらえる商品に仕上がった」と笑顔を見せる。

 会津若松市七日町の「山田木綿織元」やサンブライトのホームページ内のオンラインショップで販売する。1本税込み11万円。問い合わせは同社(0242・76・1020)。【三浦研吾】

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