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熊本地震

2016年4月14日と16日に発生した熊本地震。最大震度7の激震に2度襲われ、熊本、大分両県で関連死を含めて275人が亡くなった。

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「5年間、息子と毎日晩酌」熊本地震の発生と同時刻、父は語った

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大野睦さんの遺影を見つめる(左から)兄太地さん、母久美子さん、父浩介さん=東京都内で2021年4月16日未明、関谷俊介撮影
大野睦さんの遺影を見つめる(左から)兄太地さん、母久美子さん、父浩介さん=東京都内で2021年4月16日未明、関谷俊介撮影

 4月16日午前1時25分、私は東京都内の住宅地にある一軒家にいた。ちょうど5年前の同じ時刻、約850キロ離れた地で、熊本地震によって二十歳で亡くなった大野睦(りく)さんが育った家だ。「5年間、睦とこうやって毎晩、晩酌しているんですよ」。そう言って私にもビールを差し出してくれた父浩介さん(55)と杯を傾け、母久美子さん(56)の手料理をいただきながら、最愛の息子を失った家族の5年を聞かせてもらった。とてつもない悲しみに突然見舞われた家族は、何に支えられて生きてきたのだろうか。【関谷俊介】

 2016年4月14日夜に発生した熊本地震の前震の直後、私は東京から社有機に乗り込み、現地を上空から見て、空港に降り立った。16日の本震で震度6強の揺れに襲われた熊本県南阿蘇村黒川地区にも足を踏み入れた。地区にある東海大阿蘇キャンパス周辺は多くの学生向けアパートが倒壊。農学部バイオサイエンス学科2年生だった睦さんが1階に入居していた2階建て木造アパートも、1階部分が押しつぶされていた。

 東京に戻り、私は睦さんの実家に手紙を送った。…

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【熊本地震】

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