連載

田中優子の江戸から見ると

法政大総長・田中優子さんのコラム。江戸から見る「東京」を、ものや人、風景から語ります。

連載一覧

田中優子の江戸から見ると

刀剣

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 先週の水曜日(4月14日)は旧暦3月3日の「上巳(じょうし)の節句」だったが、この節句については昨年詳しく書いた。そしていつの間にか二十四節気の「清明」が終わり、20日から「穀雨」に入った。田植えの準備に入る時期である。江戸時代の農村風景を思い浮かべながら、一方で全く別のことが気になっている。

 きっかけは雑誌「東京人」の5月号だ。「江戸東京と刀剣」という特集を組んでいる。江戸時代の人にとって刀とは何だったのか。私はこの問いを置き去りにしてきた。しかし気になっていた。なぜなら、戦国時代の日本はアジアにおける鉄砲技術の先進国だったからだ。

 川中島の戦い、長篠の戦い、朝鮮侵略、大坂夏の陣など、いずれの戦争でも大量の鉄砲が使われた。そして元和偃武(げんなえんぶ)と言われる、海外での戦争及び内戦の終結に伴って鉄砲は厳しく規制された。火薬の原料となる硝石も国内で生産できるようになっていたので、経費の問題ではない。武士たちにとって鉄砲は戦争の道具。そこで偃武(武器を伏せて使わない)によって鉄砲は封印されたのである。

この記事は有料記事です。

残り307文字(全文765文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集