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入管法改正案の審議 与野党で抜本的な修正を

 国内外で人権上の問題が多いと批判されている法案の審議を、このまま進めていいのか。政府・与党は再考すべきだ。

 入管法改正案の審議が衆院で始まった。在留資格がない外国人の帰国を徹底させる内容である。

 政府は、国外退去処分を受け、帰国を拒んだ外国人が、入管施設に長期間収容される状況を解消するためだと説明している。

 ただ、帰国すると身に危険が及ぶ恐れがあったり、日本に家族がいたりするため、とどまろうとするケースが多い。

 在留資格を失った人の中には、過酷な労働に耐えかねた技能実習生や、学費が払えず退学を余儀なくされた留学生もいる。

 改正案では、難民認定の手続き中は送還されない規定に、条件がつけられた。申請は事実上2回に限られ、3回目以降は強制退去の対象となる。

 政府は、帰国を免れる目的で申請が繰り返されていると強調する。だが、世界的に見て厳しい難民認定にこそ問題がある。

 国際的に批判されてきた収容の手続きは、見直されなかった。収容は出入国在留管理庁が決め、期間の制限もない。

 新設される「監理措置」も問題だ。支援者や弁護士らが監理人となって、逃亡の恐れがない人が社会生活を送れる仕組みだが、公的な生活保障はなく、退去処分を受けると就労できない。

 生活や法的手続きをサポートする人が、監視役を担うのは無理がある。日本弁護士連合会は収容の防止にならないと反対している。

 改正案に対し、国連の難民高等弁務官事務所は懸念を表明した。人権理事会の専門家も「国際的な人権基準を満たしていない」と指摘している。

 野党は、難民認定の権限を法相から独立組織に移す対案を国会に提出している。収容についても、裁判所の許可を義務づけ、期間を6カ月以内とする。

 入管施設を巡るトラブルは後を絶たない。先月には、名古屋市の施設で体調が悪化した33歳のスリランカ人女性が死亡した。

 入管行政のあり方が改めて問われている。与野党で改正案を抜本的に修正し、人権に配慮した制度にすべきだ。

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