「馬は話せない」八百長の立件は断念 不正で51人処分 笠松競馬

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騎手らによる馬券不正購入が問題となっている笠松競馬場=岐阜県笠松町で2021年4月8日午前10時36分、熊谷佐和子撮影 拡大
騎手らによる馬券不正購入が問題となっている笠松競馬場=岐阜県笠松町で2021年4月8日午前10時36分、熊谷佐和子撮影

 笠松競馬(岐阜県笠松町)に所属する騎手や調教師が地方競馬の馬券を不正購入した問題で、レースを主催する岐阜県地方競馬組合は21日、不正購入などに関わっていた30人と、監督責任のある組合職員ら21人の計51人の処分を発表した。競馬法違反(馬券購入)の罪で岐阜簡裁から罰金の略式命令を受けた元騎手3人と元調教師1人の計4人(既に引退)は組合の条例に基づく最も重い処分の「関与禁止」処分となった。

 4人は競馬場への入場やレース出走に必要な免許が無期限で取り消される。この4人とは別に、過去にグループで馬券を購入したり、仲間に馬に関する情報を教えた見返りに報酬を受け取ったりしていた騎手と調教師計8人を、関与禁止に次いで重い「関与停止」処分とし、最大5年間、レースに関われなくなる。そのうち2人については21日、収賄容疑で県警に刑事告発した。

 馬券の不正購入に関わって今回処分を受けた騎手と同じ厩舎(きゅうしゃ)に所属していた調教師9人と、不正行為を知りながら組合に報告しなかった騎手9人についても、一定期間減給などの処分とした。

 また、再発防止策として騎手がレース前日までに入室する施設内の監視カメラを増設し、インターネットによる馬券販売開始前の入室を義務づける。

 21日に記者会見した組合代表の古田聖人・岐阜県笠松町長は「ファンと地域の皆様に迷惑と心配をかけ、申し訳ない。責任を痛感している」と述べた。組合は今後、レース開催に必要な総務省からの指定手続きを受け、5月下旬以降のレース再開を目指す。【黒詰拓也】

「走ってくれなかったと言われたらお手上げ」

 今回の問題を巡っては、元騎手や元調教師の計4人が競馬法違反(馬券購入)罪で略式起訴されたが、岐阜県警は当初、レースの着順を操作する八百長行為があったとみて馬券購入より罪が重い同法違反(不正競走)容疑での立件を目指していた。しかし、客観的な証拠を得ることができず、最終的に断念した。

 弁護士らでつくる第三者委員会が3月31日にまとめた調査報告書では、八百長について「不正に着順を操作するとの疑いが拭い去れない」などと記載。県警も「笠松競馬で八百長が行われている」とファンの間でうわさになっていたことを突き止め、捜査を進めてきた。

 しかし、八百長が実際に行われていたとしても「馬は話してくれない」と捜査関係者は話す。競艇レースならボートのエンジン出力を調べることで、意図的に出力を抑えていたことなどを客観的に裏付けられるが、競馬の場合は「(騎手に)真剣にムチをたたいたが走ってくれなかったと言われたらお手上げ」という。今回は八百長を示すメールでのやりとりなど客観的な証拠も得られず、4人全員が八百長を否定したため、最終的に県警は馬券購入容疑で書類送検した。【熊谷佐和子】

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