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アスリート交差点2020

己と向き合う みんなちがって、みんないい=バドミントン・奥原希望

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3月に伝統の全英オープンで5年ぶり2度目の優勝を果たした奥原希望=Badmintonphoto/BWF提供
3月に伝統の全英オープンで5年ぶり2度目の優勝を果たした奥原希望=Badmintonphoto/BWF提供

 東京オリンピック・パラリンピックの大会ビジョンの一つである「多様性と調和」が改めて注目されています。大会関係者による女性蔑視発言など大会の理念に逆行することが続いたからです。バドミントンはワールドツアーで世界各地を転戦するので、さまざまな国・地域の文化に触れてきました。私にとって多様性の原点となるのが国際大会です。

 インドネシアはバドミントンが国技とされるほど人気で観客の熱量がすごく、選手も力が入ります。中国は強豪国でファンの目が肥えており、拍手されると認められたような気になります。3月に私が優勝した全英オープンは大会の歴史が最も古く、どの国の選手であれ平等に応援してくれる雰囲気があります。

 国・地域ごとに応援のスタイルは異なりますが、それぞれに良さがあります。良いプレーに拍手を送る会場は一体感があります。人種や肌の色、性別、言語などの違いを超えて一つになれるのがスポーツの素晴らしい点です。

3月に伝統のある全英オープンで5年ぶり2度目の優勝を果たした奥原希望=Badmintonphoto/BWF提供 拡大
3月に伝統のある全英オープンで5年ぶり2度目の優勝を果たした奥原希望=Badmintonphoto/BWF提供

 世界各地を回り、他の国の選手らと話をすると、ひとりひとりと向き合うことの大切さを感じます。性別や年齢、国籍などでカテゴライズすべきではありません。私は26歳の日本人女性である前に、奥原希望です。固定観念にとらわれず、それぞれの個性を理解し、尊重することが大切ではないでしょうか。

 新型コロナウイルスの影響で、人と人とのつながりが途絶えがちです。それでも、パソコンなどの画面越しに表情や声、言葉を伝えることはできます。今まで以上に相手の言葉に真剣に向き合わなければいけないと思います。当たり前のことを再確認できれば、コロナの終息後、より良い世界になっているはずです。

 2017年度に通信制教育が中心の日本ウェルネススポーツ大を卒業しました。在学中、五輪の起源を調べる機会があり、平和、団結、友愛を実現するために始まった「世界の運動会」と知りました。私にとって4年に1度開かれる世界一を目指す大会なのは間違いないですが、五輪の舞台で感じたことを世の中に伝える役割があると考えています。

 コロナ下で、しかも自国開催の五輪はさまざまな意味で特別な大会です。アスリートが臆することなく、社会への思いを訴える機会にもなります。「選手は自分の仕事をしていればいい。社会や政治について意見を言うべきでない」という声もありますが、選手も社会の一員です。スポーツを通じて感じたことを伝える使命もあると思います。

 コロナの感染拡大は続いており、東京五輪は開催、中止どちらの可能性もあると覚悟しています。だからこそ、結果だけでなく、過程に目を向けてほしいです。五輪に至る道筋一つとっても、選手の数だけ物語があります。まさに「多様性」です。多くの人々の心に物語が届いてくれることを願います。(あすはカヌー・羽根田卓也です)

おくはら・のぞみ

 長野県大町市出身。2011年の全日本総合女子シングルスで史上最年少(16歳8カ月)優勝。16年リオデジャネイロ五輪銅メダル、17年世界選手権優勝。太陽ホールディングス所属。26歳。

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