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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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古いことわざに…

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 古いことわざに「三度目には馬の鞍(くら)も置き合わされぬ」というのがある。3度目の災難は思ったより早く来るので、逃れるために馬の鞍を置くひまもないというのだ。略して「三度目は馬の鞍」ともいう▲どんないきさつでこんなことわざができたのかは知らないが、2度の災難が起きた原因を取り除かぬままに漫然と時を過ごせばそういうことにもなろう。で、コロナ感染の急拡大と医療逼迫(ひっぱく)による3度目の緊急事態宣言が迫っている▲政府は20日に要請のあった大阪府のほか、京都府、東京都にも宣言を発令する方針を固めたという。2度目の宣言解除にあたって心配されていた変異株によるリバウンドが現実となり、鞍を置く間もなく3度目を迎えることとなった▲同じく古いことわざに「三度目が大事」「三度目には大事」がある。同じように見えるが前の大事は「だいじ」、後のは「おおごと」だ。前者は3度目は失敗が許されないとの意、後者は災難も3度目は重大事になるとの意味という▲感染力の強い変異株では重症化のスピードも増し、重症者に占める若年層の割合も増えているという。なのに人々のコロナ疲れで、宣言の効果逓減(ていげん)が心配される「三度目」となる。「が大事」「には大事」は、共に的確な警告だろう▲古いことわざには「三度目は定(じょう)の目」もある。定の目とは本来出るべきさいころの目のこと。政府や自治体への不満はいずれ帳尻をあわせるとして、今は自らがウイルスの運び手とならぬよう心をくだく時だ。

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