特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

70歳雇用の努力義務 支える環境を国と企業で

 改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳まで働く機会を確保する努力義務が企業に課せられた。

 働き手を増やして人手不足に対応する。政府は、少子高齢化で揺らいでいる社会保障財政の持続性を高めたい考えだ。

 内閣府の調査によると、60歳以上の働き手の9割近くが、70歳以上まで働くことを望んでいる。環境整備は政府と企業の責務だ。

 定年を延長したり廃止したりする企業も一部にはある。だが、帝国データバンクが2月に行った調査では、企業の半分近くが対応を決めていなかった。人件費などの負担増を警戒しているようだ。

 企業にとって、シニアの経験や知識は財産だ。就労意欲を引き出せる制度を築くことが、生産性の向上にもつながる。

 現在は定年後に低賃金で再雇用する企業が多い。仕事の内容が現役時代と同じなら、賃金もそろえるのが基本だ。

 働きがいがあり、貢献の度合いに見合う待遇となっているか、労使でしっかりと議論しなければならない。

 専門性や能力などに応じた多様な就労形態も用意すべきだ。働く期間が長期化している現状を踏まえ、賃金体系や人事制度の再構築が求められる。

 デジタル化といった経営環境の変化で、企業が求める人材像とシニアの技能が適合しにくくなっていることにも配慮が必要だ。

 社内教育や公的な職業訓練をはじめとする「学び直し」の機会を増やし、官民で適切にサポートしてほしい。

 再雇用の条件などを巡るトラブルも予想される。政府は実態把握に努め、働き方の指針を具体化する必要がある。

 何歳まで働くかは、人生設計に関わる問題だ。早く退職して老後を楽しみたい人がいる一方で、生活のために働かざるを得ない人もいる。

 政府は、70歳までの就労確保を義務づけることも視野に入れている。しかし、企業や個人の努力に頼るばかりでは、超高齢化社会を乗り切れない。

 シニアの不安を解消するには、雇用だけでなく持続可能な社会保障制度が欠かせない。安心して働ける仕組み作りが急務だ。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

注目の特集