「ツケ回すな」全国各地で若者訴え 温室効果ガス削減目標表明で

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温室効果ガス排出削減目標の引き上げなどを政府に求め、横断幕を掲げて歩く人たち=京都市中京区で2021年4月22日午後5時1分、滝川大貴撮影 拡大
温室効果ガス排出削減目標の引き上げなどを政府に求め、横断幕を掲げて歩く人たち=京都市中京区で2021年4月22日午後5時1分、滝川大貴撮影

 国連が定めた「アースデー」(地球の日)の22日、若者たちが気候危機を訴えて街頭に立つ活動が東京や京都、福岡など各地であった。菅義偉首相は同日、2030年度の国内の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減する新たな目標を表明したが、参加者は「先進国としての責任を考えれば不十分な目標だ」として、さらなる引き上げを求めた。

 米国が主催するオンライン形式の、気候変動に関する首脳会議(気候変動サミット)が22日に開幕するのに合わせ、有志が呼びかけた。

温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを訴える若者ら=東京都千代田区の経済産業省前で2021年4月22日午後4時6分、北山夏帆撮影 拡大
温室効果ガス削減目標の大幅引き上げを訴える若者ら=東京都千代田区の経済産業省前で2021年4月22日午後4時6分、北山夏帆撮影

 東京都千代田区の経済産業省前には中高生ら約100人が集まった。「気候危機に特効薬なし」「削減目標62%はゆずれない」などと書かれたプラカードを掲げ、参加者が順にスピーチをした。呼びかけ人の一人、都立西高3年の山本大貴さん(17)は「気候変動の問題は世代間に不平等をもたらしている。若い世代にツケを回すのはおかしい。政治家や企業は若者の声に耳を傾けて」と強調した。

 菅首相は22日、30年度の温室効果ガス排出量を13年度比26%削減する従来の目標を、同46%削減へ引き上げる新たな目標を打ち出した。しかし、ドイツなどの研究者らが参加する国際NGO「クライメート・アクション・トラッカー」は3月、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑えるとする地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標達成には、日本の場合、同62%まで大幅に削減する必要があるとする報告書を公表した。

 活動に参加する国学院大2年、俵里奈さん(19)は「すでに台風などで日本は気候変動に伴う経済損失を被っている。今ある命を守るため日本は62%以上の削減が必要だ。新型コロナ禍も危機だが、気候も危機だと多くの人に伝えたい」と語った。

 福岡市では約40人が中央区天神の繁華街を練り歩いた。長崎大の卒業生で呼びかけ人の重冨文紀(ぶんき)さん(23)は、20年7月の九州豪雨で大きな被害が出た熊本県球磨(くま)村で復興ボランティアに携わった。「毎年のように観測史上1位の気象現象が起きるようになった。46%削減は最低限のラインだと思うが、世界5位の排出大国の責任を考えるともっと高い目標が必要だ」と訴える。

 政府に温暖化対策の強化を要求する若者の行動は、18年にスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん(18)が単身で活動を始めたのをきっかけに、世界各地で「フライデーズ・フォー・フューチャー(未来のための金曜日)」という組織が作られ、大きなうねりになっている。

 日本でも学生を中心とした組織が各地にでき、街頭活動やSNSなどを通じて輪を広げている。19年9月から参加する日本大2年、奥野華子(かこ)さん(19)は「今回、菅首相が目標を引き上げたのは米国など海外の圧力を受けたからで、私たち日本の若者や市民の声を受けてではないように思う。もっと賛同を広げていかないといけないと改めて感じた」と話す。【阿部周一、渡辺諒】

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