特集

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスのニュース、国内での感染状況を報告します。

特集一覧

大阪の高齢者施設、クラスター発生で「コロナ病院」化 募る危機感

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
透明なカーテンで区分けされた感染者らの居室=大阪市内の特別養護老人ホームで(同施設提供) 拡大
透明なカーテンで区分けされた感染者らの居室=大阪市内の特別養護老人ホームで(同施設提供)

 新型コロナウイルスの感染「第4波」の猛威にさらされている大阪府。特に、クラスター(感染者集団)が発生しやすく重症化リスクも高い高齢者施設は危機感を募らせている。大阪市内の特別養護老人ホームでは、病床逼迫(ひっぱく)の影響で受け入れ先の病院が見つからず、施設内で隔離した「コロナ病床」を設け、急場をしのいでいる。府は20日、3回目となる緊急事態宣言の発令を要請した。施設長は「感染防止策の強化で、街中での感染が少しでも抑えられてほしい」と願いを込めた。

 この施設では、第3波までは感染者ゼロだった。最初の感染者が確認されたのは今月2日。介護士が発熱を訴え、PCR検査で陽性が判明した。この介護士が担当するフロアの入所者61人と同僚職員47人を検査したが、全員陰性で、安堵(あんど)感が広がった。だが、7日になり、同じフロアの入所者1人が発熱し、感染が確認された。改めて全員をPCR検査したところ、新たに入所者4人の陽性が分かった。この4人に発熱などの症状はなかった。

ガウンやフェースシールドで感染対策をして入所者をケアする職員(左)=大阪市内の特別養護老人ホームで(同施設提供) 拡大
ガウンやフェースシールドで感染対策をして入所者をケアする職員(左)=大阪市内の特別養護老人ホームで(同施設提供)

 高齢者の場合、症状がなくても容体が急変するなど、重症化リスクが高い。すぐに保健所に相談して入院先を探してもらったが、人工透析中の1人を除き、病院は見つからなかった。施設によると、80代や90代の高齢患者の受け入れ先確保は難しいのが現状だという。

 施設では、施設内に臨時の「コロナ病床」を設けるため、保健所の指示で、フロア全体をウイルス汚染区域「レッドゾーン」に指定。感染防止策など、コロナ患者を受け入れている病院と同様の運用を試みた。入院先が見つからなかった陽性の入所者4人を同じ部屋に集め、22日までの約2週間、濃厚接触者の13人とともに透明なカーテンで仕切った一角で過ごさせている。

ガウンやマスクで衛生管理を徹底して対応する職員=大阪市内の特別養護老人ホームで(同施設提供) 拡大
ガウンやマスクで衛生管理を徹底して対応する職員=大阪市内の特別養護老人ホームで(同施設提供)

 入所者の家族からは「感染したのに入院できないのか」と問いただされたが、施設長は「保健所と連携して、何があっても対応する」と理解を求めた。看護部長は「多くの入所者が認知症でマスク着用も難しく、施設内の徘徊(はいかい)もある」と対応の難しさを吐露する。

 施設での「コロナ病床」設置で、衛生のための大量の備品が必要となった。職員が着けるフェースシールドやマスク、ガウンは入所者ごとに交換。食器も使い捨て。関連施設との融通で物資を確保した一方、たまった医療廃棄物は1週間で段ボール約40箱に及んだ。レッドゾーンでの慣れない介護や看護に当たる職員の心身をケアするため、マッサージの提供なども心がけたという。

 入所者の健康管理に当たる医師は「これまでこの施設では一度も感染例がなかったが、変異株が登場して感染力が強まったことで、クラスターが発生したのではないか」と分析。府内が既に医療崩壊の状態にあることから「施設内で対応を完結させるしかない」と悟るように語った。【高野聡】

感染経路不明の割合の増加が影響か

 大阪府内では、22日までに高齢者施設(障害者施設も含む)で199件の新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した。2020年10月10日から21年2月28日までの「第3波」では約4カ月半で137件だったが、府が「第4波」と定義する3月1日以降は約1カ月半で既に約60件を数え、第3波よりもやや速いペースで起きている。

 高齢者施設でのクラスターについて、府は、感染経路不明の割合が増えて市中感染が広まった結果、施設で働く職員や新規入所者らがウイルスを持ち込んだことで引き起こされる、と分析している。府によると、府内の感染者に占める経路不明の割合は、3月初めは約50%だったが、4月22日までの10日間は64・1%に上昇した。

 クラスターは感染拡大から2週間ほど遅れて増える傾向があり、府の担当者は「施設のクラスターはしばらく増加が続く可能性があり、注意が必要だ」と警戒している。【近藤諭】

【新型コロナウイルス】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

注目の特集