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私たち人類の集団免疫 収束への道にワクチンの落とし穴 西浦教授

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西浦博・京都大教授
西浦博・京都大教授

 新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、医療従事者に続き高齢者へのワクチン接種が始まった。ワクチンの接種率が高い国では感染状況は落ち着き、収束への道筋も見通せる状態となっている。日本はワクチン接種によって、集団免疫を獲得し、流行を収束させることができるのか。理論疫学が専門の西浦博・京都大教授に話を聞いた。【聞き手・金秀蓮】

接種ワクチンに効果ある

 ――新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降、「集団免疫」という言葉をよく耳にします。感染症にかかったり、ワクチンの接種を受けたりすることで多くの人が免疫を持ち、免疫を持たない人も感染を免れる。そして、流行が収束するというイメージがありますが、予防接種が進むと集団免疫は成立するのでしょうか。

 ◆集団免疫が成立するかどうかを議論する前に、集団免疫についてきちんと定義しないといけません。ワクチンは個人レベルでもコミュニティーレベルでも効果があることが知られています。

 まずは「間接的効果」です。元々ある人に接触をして僕も感染するはずだったものが、その接触相手が予防接種を受けることによる効果は二つあり得ます。一つは、その人が感染しないことによって、僕のウイルスへの暴露の機会が奪われるという効果。もう一つは、その人が仮に感染したとしても、発症せず(他人にうつす)感染性が弱まることで、僕が間接的に感染から逃れるという効果です。このように、間接的効果は個人レベルで見られます。

 間接的に感染機会から逃れ、感染性が弱まることが集団レベルで積み重なったものが集団免疫と呼ばれているものです。おそらく皆さんが集団免疫と呼びながら期待しているのは、その集団免疫の積み重なりが流行を止めるのに十分になり、流行が収束に向かうことですよね。これに必要な免疫を獲得した人の割合が「集団免疫閾値(いきち)」と呼ばれるもので、間接的効果と分けて考えなければいけません。

 既に世界中で接種が始まっているワクチンは、個人の感染機会を奪うぐらいよく効くものもあるので、個人レベルの間接的効果は十分あるということになります。

空白生じれば流行収束は望めず

 ――集団免疫の閾値に達し、この感染症の流行が収束するのは難しいのでしょうか。

 ◆集団免疫閾値に達するかどうかは…

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