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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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「米国が宇宙から攻撃されたら助けてくれるか」…

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 「米国が宇宙から攻撃されたら助けてくれるか」「もちろんだ」「米国も同じだ」。1985年の米ソ首脳会談の際、レーガン米大統領とこんな会話を交わしたと、ソ連書記長だったゴルバチョフ氏が明らかにしている▲大のSFファンだったレーガン氏は国連演説でも「異星人の脅威」に対する世界の団結に触れた。共通の外敵が出現すれば、冷戦も終結すると考えていたのかもしれない。同じ頃、米ソ双方の雑誌に「共通の敵」と題したエッセーを寄稿したのが米国の天文学者、カール・セーガン氏だ▲セーガン氏は、核戦争が起きればその後の「核の冬」で人類が滅亡すると警鐘を鳴らしたことで知られる。エッセーでは「異星人は必要ない。我々は自ら危険を生み出している」と指摘し、核兵器開発競争や地球温暖化を「共通の敵」になぞらえた▲アースデー(地球の日)に合わせ、バイデン米大統領が主催するオンライン形式での気候変動サミットが始まった。米中、米露の対立が続き、新冷戦も懸念される中、中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領も参加した▲国際協調に背を向けたトランプ前米大統領時代と違い、国際社会がなんとか足並みをそろえた形だ。だが、各国の思惑は異なる。脱炭素でどれだけ具体的な目標が示されるかは不透明だ▲セーガン氏は「共通の敵は手ごわすぎる」と強調する一方、「人類が地球のために協力する」ことに希望を見いだしていた。その危機感を首脳たちにも共有してもらいたい。

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