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三浦雅士・評 『現代音楽史』=沼野雄司・著

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『現代音楽史 闘争しつづける芸術のゆくえ』
『現代音楽史 闘争しつづける芸術のゆくえ』

 (中公新書・990円)

インターネット時代の音楽とは

 文化史として秀逸。

 現代音楽なんて聞いたことがないという人でも、現代音楽という領域があることは知っているだろう。高級で難しそうな印象を持っているに違いない。まさにその通り。人間は文化的動物だが、文化なるものはその中心に高度で難解なものを秘めていなければ崩れてしまうのである。さしずめ現代音楽は文化の芯のその固い部分の筆頭。自然科学や社会科学の専門家は、音楽や舞踊が人間社会の基礎を成すことにまだ気づいていないようだが、いずれ気づくに違いない。人類は音楽や舞踊のために経済活動をするようになったのであって、逆ではないのだ。

 その現代音楽を一般読者にも分かりやすく解説してくれるのが本書だ。二十世紀音楽史と言っていいのは、第一次大戦、ロシア革命、第二次大戦、五月革命、ソ連崩壊、そして米中冷戦の現在に至るまで、政治、経済、社会および絵画や文学の動きなどと密接に関連させて論じているからである。柴田南雄(みなお)、諸井誠、間宮芳生(みちお)、松平頼暁そのほか、現代音楽を表題に含む本がこれまでに書かれてこなかったわけではない。…

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