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成功体験で過信「大阪は医療崩壊直面」 府専門家会議座長に聞く

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大阪府の新型コロナウイルス対策本部会議で発言する専門家会議の朝野和典座長=大阪市中央区で2021年4月20日、木葉健二撮影
大阪府の新型コロナウイルス対策本部会議で発言する専門家会議の朝野和典座長=大阪市中央区で2021年4月20日、木葉健二撮影

 大阪府の新型コロナウイルス対策本部の専門家会議座長として府にコロナ対策を助言してきた朝野(ともの)和典・大阪健康安全基盤研究所(大安研)理事長(65)が、3回目の緊急事態宣言発令となったことを受け、毎日新聞の単独インタビューに応じた。重症患者の数が重症病床数を上回る大阪の現状について「医療崩壊に直面している」と指摘した。これまで3度の「波」を乗り切った「成功体験」が過信につながり、変異株による感染急拡大などへの医療体制構築が十分にできなかったと説明し、「大阪は今こそ生まれ変わらなければいけない」と訴えた。

 24日現在、重症者は348人。このうち、重症病床(287床)に282人が入る。65人は転院できず軽症・中等症病院で治療が続き、1人は滋賀県に搬送された。重症病床を増やしてきた影響で、地域で最も高度な医療を担う3次救急医療機関の一部が患者の受け入れを制限する事態に陥った。朝野氏は「新型コロナ以外の一般医療をも逼迫(ひっぱく)させている。新型コロナ以外でも失われる命が出ている可能性がある」と語った。

 海外で爆発的感染が確認されたが、国内では昨秋から今冬の「第3波」までは自治体が確保を見込んだコロナ用病床などでほぼしのぐことができた。朝野氏は「こうした『成功体験』が災いし、変異株の猛威に対応できなかった」と悔やむ。

 一方、「大阪は医療崩壊に直面したからこそ新たな医療(体制)が生まれようとしている」との見方を示し、追加の病床確保など医療機関が結束して対応に当たっていることに希望も見いだした。

 今回の緊急事態宣言は、25日~5月11日の期間に出される。前回宣言の解除後の3月中旬に重症者は54人にまで減ったが、医療体制が現在、危機的状態に陥っていることを踏まえ、宣言解除の目安については、「重症患者が20人になるか、20人にまで確実に減らせる根拠が見いだせる時期まではすべきではない」と言及、昨夏の第2波収束時と同程度まで減らす必要があるとの考えを示した。また、リバウンド(感染再拡大)を防ぐため、予兆を早期に捉える指標を導入し、警戒段階に応じた対応策を事前に定めて、経済回復につなげていくべきだ、と説いた。

 朝野氏は府の新型コロナ対策に助言を与えてきた感染制御学の専門家。大阪大教授から今年4月、大安研の理事長に就任した。大安研は府と大阪市の研究所が2017年に統合した地方独立行政法人で、感染症政策の根幹を担う。

医療体制を回復させないと

 一問一答は次の通り。

 ――2月末をもって2回目の緊急事態宣言が解除された後、大阪でリバウンド(再拡大)が起きた原因は。

 大きな要因は変異株と人の動きだ。毎年3~4月は歓送迎会などで飲み会が多くなる。この時期に加え、飲酒の機会が増える夏場や、クリスマスや忘年会でにぎわう冬場は感染が広がる。今年の流行の曲線は昨年1年間と同じで、人の動きが影響している。だが「波」が圧倒的に高くなったのは、変異株の影響だろう。

 ――今回の緊急事態宣言をどう受け止めているのか。

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