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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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「12億人の巨大市場で日本並みの数のマイカー族が…

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 「12億人の巨大市場で日本並みの数のマイカー族が日中共同開発の電気自動車を乗り回す日が遠くない将来にやってくる」。1993年の東京モーターショーに合わせた小紙社説の一節だ。「業界人の夢」として紹介した未来予想図は当たらずとも遠からずか▲当時、日本の5分の1に過ぎなかった中国の新車販売台数は2006年に日本、09年に米国を抜いて世界最大になった。電気自動車(EV)が次代の中心的役割を担うのも予想どおりだ。だが、共同開発とはいかず、日中を含めた各国メーカーがしのぎを削る▲開催中の上海モーターショーの焦点はやはりEVである。中国メーカーも小型EVや人工知能(AI)を使った自動運転技術で存在感を示している。その最中に今年の東京モーターショーの中止が発表された。中止は第1次石油ショック後の74年以来になる▲モノづくり大国の実力を示す東京モーターショーは世相を映す鏡でもあった。コロナ禍での中止はやむをえまい。しかし、来場者でにぎわう上海の映像を見ると、彼我のコロナ対策の巧拙を可視化されているようで複雑な気持ちにもなる▲それでもトヨタやホンダなど自動車各社の業績は中国市場の回復にも支えられ、好調だ。トヨタは水素で走る燃料電池車(FCV)を中国で普及させる取り組みも進めている▲米中対立の激化でチャイナリスクを意識せざるをえない。とはいえ、中国抜きでは新たな未来予想図が描けないのも、自動車業界が直面する現実だろう。

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