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英月の極楽シネマ

京都の大行寺で住職を務める英月さんが仏教の次に大好きな映画について紹介する。

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英月の極楽シネマ

椿の庭(2020年、日本) 死んでも残るものがある

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 海の見える高台に建つ古民家で孫娘の渚(なぎさ)(シム・ウンギョン)と暮らす絹子(富司純子)。夫も、渚の母である長女も亡くなり、離れて暮らす次女(鈴木京香)が時々様子を見に来ます。そんな淡々とした生活が変わるのは夫の四十九日が過ぎた頃。相続税を払うために家を手放すことになったのです。家族との思い出が詰まった家から離れることを耐え難いと思いながらも、絹子は彼女なりの準備を始めます。

 写真家でもある上田義彦監督が撮る映像の美しさに圧倒されるのは、四季折々の自然や、明治時代に移築されたという建物になじむ調度品たちが饒舌(じょうぜつ)に映っているから。物言わぬ庭の散った椿(つばき)や金魚、空にかかる雲や虹、革張りの椅子が、登場人物の置かれた状況や心境を雄弁に語るのです。

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