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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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 映画「ネバーエンディング・ストーリー」の原作者で知られるドイツの児童文学者、ミヒャエル・エンデは「社会を連帯させるお金」を提唱していた。これを具体化したのが地域通貨だ。特定の地域だけに疑似貨幣を流通させ、社会に役立てる仕組みである▲エンデの死後、メッセージがテレビ番組で1999年に放映されたころから、日本各地で実施例が増えた。最近はその地域通貨、疑似コインなどを使わない電子マネータイプが目立っている▲長崎県南島原市では「MINA(ミナ)コイン」の運用を始めた。スマホにアプリを入れて、ポイントを購入すれば、市内338の小売・飲食店などで買い物ができる。同市は、利用者へのポイント上乗せなども行い、コロナ下の地元業者支援につなげようとしている▲神奈川県鎌倉市は「クルッポ」と呼ばれる電子地域通貨を運用している。地域で奉仕活動などを行えば、見返りにイベント参加などができるポイントをもらえる。使われるほど地域が活性化するというわけだ▲地域通貨に詳しい泉留維・専修大教授によると、新登場した電子タイプは昨年から約20例確認された。疑似コインタイプは運営コストがかさみ続けられなかった例も多かったが、電子タイプにはこの点を改善する期待もある▲「定着させるには普通の電子マネーとの違いや、意味を明確にすることが欠かせない」と泉教授。ため込まずに経済や社会を潤すというエンデの理念に、新型の地域通貨はどこまで近づけるだろう。

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