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辺野古埋め立てと遺骨 戦没者の尊厳損なうのか

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 沖縄戦で犠牲になった人々の遺骨を含んだ土砂が、米軍施設の建設に使われる恐れが出ている。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設計画に関し、政府が埋め立て土砂の採取予定地に沖縄本島南部の糸満市などを加えたからだ。

 県議会は今月、沖縄戦の戦没者の遺骨が混入した土砂を使用しないよう国に求める意見書を全会一致で可決した。

 激戦地となった本島南部には、今も犠牲者の遺骨が眠っている。遺骨収集ボランティアらが「戦没者の骨が混じり、血が染みこんだ土砂を新基地で使うのは人道上許されない」と抗議活動を繰り広げ、県議会を動かした。

 第二次大戦末期、本土防衛の「捨て石」にされた沖縄では、住民を巻き込んだ地上戦が行われた。県民の4分の1にあたる約12万人が亡くなり、今も約2800柱の遺骨が見つかっていないという。

 5年前に施行された「戦没者遺骨収集推進法」は、遺骨収集を「国の責務」と定めている。それも十分に果たさぬまま、土砂の確保を優先させるようなことは認められない。

 政府は昨年、土砂の主な調達先を県外から県内に切り替え、予定地に本島南部を加えた。県外からの土砂搬入を規制する県条例を念頭に置いた措置とみられる。

 菅義偉首相は国会で「南部で採取する場合は、遺骨に十分配慮するよう業者に求める」と語った。

 だが、埋もれた遺骨は石灰岩などと色が似ており、見た目で判別するのは難しい。まして重機を使った作業で十分な配慮ができるとは思えない。

 そもそもこうした発想自体が、沖縄の思いに向き合っていない。戦没者の尊厳を損ない、県民の心を傷つける行為だ。

 辺野古移設に関し、政府は県民の声に耳を傾けてこなかった。県民投票で埋め立て反対が72%に上っても、「唯一の解決策」と繰り返して工事を強行してきた。

 しかも、埋め立て予定海域には軟弱地盤が見つかり、技術的にも時間的にも工事の見通しは立たなくなっている。

 来年は沖縄の本土復帰から半世紀になる。政府は、県民の心を踏みにじり、負担を押しつける姿勢を改めるべきだ。

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