なぜ縄文人は、南半球を代表する南十字星を見ることができたのか
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宮澤賢治の童話「銀河鉄道の夜」で終着駅「サウザンクロス」として描かれている南十字星は、南半球を代表する星座であり、南国へのあこがれとともに語られることが多い。日本では沖縄県あたりにまで南下しないと見ることはできないが、約5000年前の縄文時代には福島からも見えたという。
郡山市ふれあい科学館(福島県)は2010年、「5000年前の星空」と題するプラネタリウム番組を製作・上映した。メソポタミア文明で星座の原形が生まれたり、エジプト文明で恒星の動きを基にした暦が作られたりと、この時期に世界各地で相次いだ天文学上の重要なできごとに併せ、郡山でも南の地平線近くに南十字星が見えたことを紹介した。
なぜ今と星空が違うのか。番組製作に携わった安藤享平主任学芸員(天文担当)によると、地球の自転軸(地軸)は公転面に対して傾いており、ちょうどコマの心棒が首振り運動をするように地軸の向きはゆっくりと変化している。この地球の動きは「歳差運動」と呼ばれる。そのおかげで5000年前には今より南の星が見えたというわけだ。
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