- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

東京都調布市の住宅街で道路が陥没した事故の発生から半年がたった。現場の地下約47メートルで東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事をしていた東日本高速道路は、周辺の住宅を取り壊して地盤を補修し、住民に同じ場所の新たな住宅に戻ってもらう「仮移転」を提案した。対象は約40戸に上る。2年以上かかるとみられる移転期間と前後の引っ越しを住民は受け入れられるのか。工事の行方は依然、不透明なままだ。
「仮移転」40戸 「住み直せるのは何年後か」
「引っ越してきたばかりだが、家を壊すのか」。4月2日に調布市で開かれた周辺の住民への説明会。現場のほど近くに新築の2階建て住宅を構え、3月下旬に住み始めたばかりの男性(48)が東日本高速道路の担当者をただした。
思いもよらない事故だった。2020年10月18日。念願かない建築し始めたマイホームの近くで、道路に長さ5メートル、幅3メートル、深さ5メートルの穴が開いた。周囲の地中からは三つの空洞が相次いで見つかった。新居の土地は父親から相続し「静かで京王線の駅に近い」と気に入った。IT関連会社に勤務し、家族は妻と小学生の息子2人。不安を抱えながらも、できあがっていく家を見守るしかなかった。
だが、東日本高速道路の工事責任者からの回答はにべもなかった。「地盤補修には直上から工事をする必要がある。家があると工事ができない」。補修を必要とする地盤は事故現場の南北360メートル、幅16メートルの範囲にわたるという。
東日本高速道路は仮移転の全体像を明示していないが、取材に対し「40戸程度」と説明。住宅再建や引っ越しにかかる費用は全額、東日本高速道路が負担する。仮移転に応じずに住宅の買い取りを希望する人にも「個別に対応する」(広報担当者)としている。
男性は新居が仮移転の対象となるかもしれないとの説明を事前に受け、こうした回答を予想していた。それでもショックは大きく…
この記事は有料記事です。
残り1431文字(全文2234文字)