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B型肝炎の最高裁判決 幅広い救済につなげたい

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 子どもの頃に受けた集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染した被害について、最高裁が救済対象を広げる判決を出した。

 20年以上前に発症し、その後に再発した患者も、国に損害賠償を請求できると認めた。

 B型肝炎は、乳幼児期に感染すると大人になってから発症する。いったん沈静化しても再発することがある。こうした特性を踏まえた妥当な判断だ。

 過去の集団予防接種では、注射器の使い回しが放置され、B型肝炎ウイルスの感染が拡大した。

 国が責任を認め、2012年に救済法が施行された。被害者が、接種記録のある母子健康手帳などを証拠に裁判を起こし、国と和解することで給付金を受け取る制度だ。慢性肝炎になった人には、1250万円が支給される。

 だが、提訴が発症から20年以上たっていた場合は、4分の1以下に減額される。「賠償請求権は20年で消滅する」という民法の除斥期間の旧規定を踏まえたものだ。

 2審判決は、再発も同じウイルスが原因だとして、除斥期間の起点を発症時とした。

 これに対し最高裁は、再発の仕組みが未解明で、病状も異なっていることを理由に、再発時を起点とした。

 同様の境遇にある再発患者が全国で約110人おり、今回の判決によって救済されることになる。

 再発患者以外にも、裁判で除斥期間を争っている被害者が約200人いる。被害の実情を考えれば、そもそも救済に当たって除斥期間は考慮されるべきではない。

 国は戦後、感染症から社会を守るとして、積極的に集団予防接種を進めてきた。一方で、接種時の安全対策は怠っていた。

 接種のたびに注射器を交換するよう指導を徹底したのは、1988年になってからだ。この間に40万人以上がB型肝炎ウイルスに感染したと推計されている。

 救済法に基づいて和解手続きを終えた人は、今年1月時点で約6万8000人にとどまっている。国は制度の周知に改めて取り組むべきだ。

 病気への無理解から、偏見にさらされる被害者も少なくない。国は過ちを忘れず、判決を幅広い救済につなげていく必要がある。

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