特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

3選挙全敗と菅首相 何を正すのかが見えない

  • コメント
  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

 衆参3選挙で与党が全敗したことについて、菅義偉首相は「正すべき点はしっかり正していきたい」と繰り返している。

 ところが、何を反省し、改めるのか、具体的に語らない。これでは政権の立て直しは難しい。

 首相は選挙翌日の26日、「国民の審判を謙虚に受け止める」と記者団に語った。しかし、焦点だった「政治とカネ」の問題には相変わらず正面から答えなかった。

 例えば参院広島選挙区の再選挙が行われるきっかけとなった大規模な買収事件だ。

 自民党本部から候補者側に1億5000万円もの資金が提供された問題は、その使い道をはじめ、今も納得のいく説明がない。

 首相はこの件を問われると、「何回となく申し上げている」といら立つ表情を見せ、「書類は(捜査当局に)押収されている」と従来通りの説明に終始している。

 国会答弁を含めて、こうした首相の不誠実な姿勢が有権者の失望を招いたのではなかったか。改めるべきは、まずそこだ。

 菅首相は新型コロナウイルス対策の切り札と期待するワクチン接種を急ぎ、今夏の東京オリンピックを予定通り開催することで政権を浮揚させたいようだ。

 だが、ワクチン接種は遅れ、日本全体の接種率は現在、経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国中、最下位だ。

 一方、五輪開催について首相は「国際オリンピック委員会(IOC)が開催を決めている」の一点張りだ。これも自らの責任を回避しているとしか思えない。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が参加選手らへのコロナ対策として期間中、看護師500人の確保を日本看護協会に依頼したことも明らかになった。

 医療体制が一段と逼迫(ひっぱく)する中で、国民の命と五輪のどちらを優先しているのか、不信の声が強まるのは当然だ。

 自民党内では「菅首相の下で次期衆院選を戦えるのか」と不安視する声が出ている。ただし表立って首相の責任を問う議員はほとんどいない。自由にものを言えない閉塞(へいそく)状況も変わらない。

 敗北を受けて、ますます「当たり前の政治」から遠ざかってしまうことを懸念する。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集