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40年超の原発再稼働 安易な例外適用許されぬ

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 運転開始から40年を超えた原発が初めて再稼働する見通しとなった。福井県の関西電力高浜1、2号機と美浜3号機の再稼働に、杉本達治知事が同意した。

 原発の運転期間は東京電力福島第1原発事故をきっかけに「原則40年」と規定された。例外として原子力規制委員会に認可されれば、最長で20年間延長できる。今回はこれが適用された。

 懸念されるのは、「脱炭素」を口実に40年ルールが骨抜きになることだ。

 政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする方針を掲げている。30年度までに13年度に比べ46%の削減を目指すという。

 梶山弘志経済産業相は杉本知事に対し、目標達成のため「将来にわたって原子力を持続的に活用していく」と表明した。

 政府のエネルギー基本計画によると、30年度は電力供給の約2割を原発でまかなうことになっている。30基程度の稼働が必要だ。

 そのためには少なくとも40年超の10基近くが、運転を延長していることが前提となる。

 しかし、40年ルールは福島の事故を教訓として、安全対策を強化する目的で作られたことを忘れてはならない。延長はあくまでも例外措置だ。

 脱炭素の実現に向けて太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及に注力し、原発に頼らないエネルギー戦略を構築すべきだ。

 原発依存には弊害が多い。

 全国の原発には使用済み核燃料がたまり続けている。それらを再利用する核燃料サイクル政策は事実上、破綻している。

 高浜1号機など3基が再稼働すれば、5~9年で保管場所の容量を超える。福井県は関電に対し県外に貯蔵施設を確保するよう求めているが、めどは立っていない。

 事故発生時の避難計画などに地域住民の不安の声も強く、地元の同意は簡単ではなかった。

 国は40年超原発1カ所あたり最大25億円を交付するなどの支援策を福井県に提示した。40年超原発の再稼働の実績を作り、全国に波及させたい思惑がうかがえる。

 だが、過酷事故を起こした原発に対する不信は根強い。安易な回帰は国民の理解を得られない。

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