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宣言下も減らない人出 協力得られる対策が急務

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 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令された東京都の人出が十分に減っていない。

 今日からゴールデンウイークが始まる。感染力の強い変異株が首都圏にも広がっている。国内の死者数は累計で1万人を超え、増加ペースが加速している。命を守るため、臨機応変に対策を見直すことが急務だ。

 宣言初日となった日曜日、都内の繁華街では人出の減少が昨春の宣言時に比べ限定的だった。

 神奈川など首都圏の3県では、休日を過ごす都民の姿も目立った。まん延防止等重点措置が適用されているが、都内と異なり大型商業施設が営業を続け、店内での飲酒も可能だったからだ。

 生活圏が重なる自治体が足並みをそろえることは感染対策の基本だ。今後も流出が続くようであれば、3県に宣言を発令することを検討する必要がある。

 政府は今回、飲食店中心の感染対策から人の流れそのものを極力抑える方針に転じた。しかし、その狙いが国民に伝わっていないのではないか。

 路上での飲み会が続くのはその表れだ。背景には「コロナ慣れ」や「自粛疲れ」がある。政府は対策が徹底されるよう、丁寧に情報発信すべきだ。

 企業にはテレワークを活用した出勤者の7割減を求めているが、進んでいない。取り組みを促す手立てを考えなければならない。

 そもそも、宣言の期間を専門家が求めた3週間より短い17日間としたことも疑問だ。政府は連休に合わせた短期集中策だと説明する。だが、この限られた期間では、新規感染者数や病床使用率を解除の目安にまで改善させることは難しい。

 事業者への支援策も不十分だ。要請に応じて休業する大型商業施設への協力金は1日20万円、テナントには1日2万円にとどまる。不満の声が上がるのは当然だ。

 財源として、5兆円の予備費に加え需要喚起策「GoToキャンペーン」の予算を活用すべきだ。

 ゴールデンウイーク中も新規感染者の増加が続くとの試算もある。政府の危機感が薄いままでは宣言の効果が上がらない。国民の協力を得られるよう手を尽くさなければならない。

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