
活動せずに報酬や手当をもらう「幽霊消防団員」が各地で広がっている。実態調査を始めた政府は4月中旬、報酬の適正な支払いを求める報告書をまとめた。消防団は「共助」の担い手として社会に不可欠な存在だ。団員の減少に歯止めをかけるためにも適正な報酬体系が不可欠。幽霊団員の存在を許してはならない。
崩壊寸前のガバナンス
私は岡山支局に在籍していた2017年から幽霊団員の問題を追い続けている。18年と昨年の2度にわたり、自治体向けに大規模なアンケート調査も実施した。一連の取材で見えてきたのは、消防団のガバナンスが既に崩壊寸前の状態にあるということだ。
調査は18年に道府県庁所在地の45市を対象に実施。昨年はそれを拡大し、人口10万人以上の264自治体を対象に行った。その結果、18年度からの2年間で活動履歴がない団員は116自治体に計4776人。報酬を払っていない自治体もあるが、大半は支払い済みで、支払総額は3億1427万円に上った。
全てが無活動というわけではない。中には、子どもの見守りや祭りの警備など支給対象外の活動をした団員も含まれるとみられる。しかし、大半の消防団に活動の実態を把握できない幽霊団員がいることは確かだ。幽霊団員を抱える自治体は、経費の無駄の有無や、災害時にどれだけの人員確保ができるのかも把握できていなかった。
汗をかいた者が報われない実態も浮かび上がった。団員報酬や…
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