「夢の35人学級」光と影 恩恵を受ける都市、人件費に悩む地方
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公立小学校では、1学級の上限を40人から35人に引き下げる義務標準法改正によって、今年度から5年かけて全学年で「35人以下学級」になる(小1は2011年度に導入済み)。きめ細かな指導ができることに加え、新型コロナウイルスの「3密」回避の狙いもある。しかし、学級数の増加に伴い増えた教員の人件費をどうするかという課題があり、その余波が地方に及ぶ可能性も指摘されている。【千脇康平、田中理知、大久保昂】
わずか5人の違い、教室も指導にも余裕
文部科学省によると、少子化の影響で、小学校の9割がすでに学級規模が35人以下になっており、「35人学級」制度化の恩恵を受けるのは主に、児童数が多い都市部の学校になる。
横浜市立子安小学校(全児童数1114人)で今年度から3年生の担任になった教員は「35人」と「40人」の違いを実感している。
昨年度は2年生の担任だった。小2に関しては国による教員の追加配置(加配)で12年度から事実上「35人学級」が実現している。2年時の児童数は190人。1学級の上限が「35人」なので6クラス編成になり、1学級の人数は31~32人だった。
ところが、3年生になると(児童数は1人減って189人)、上限が「40人」のため5クラスに減り、その分1学級は37~38人と増えた。感染防止のため、児童の机は30センチほどの間隔を空けて置いている。教室の大きさはどの学年も同じだから、人数が多ければ当然「窮屈」になる。2年生の教室では、ベランダ側の児童と窓際の棚に約1・5メートルの隙間(すきま)があるが、3年生のクラスは人数が多いためベランダ側の児童の机は棚と接している。
この教員は「学級の人数が少ない方が端まで指示が通りやすく、(教室内の児童を個別に見て回る)机間(きかん)指導もしやすい」と話す。
国の計画では、22年度に小3、23年度は小4……と毎年1学年ずつ35人に引き下げていくが、地方では独自に前倒ししたり、より少人数化を進めたりする動きが広がっている。
群馬県は08年度以降、小1、2で「30人以下」学級、小3、4と中1で「35人以下」を導入してきたが、21年度からは他の学年も「35人以下」にした。背景にある…
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