フェイクニュース、ネット業界は闘えるか キーマンが描く仕組み

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連邦議会議事堂を囲むドナルド・トランプ氏の支持者=米ワシントンで2021年1月6日、高本耕太撮影
連邦議会議事堂を囲むドナルド・トランプ氏の支持者=米ワシントンで2021年1月6日、高本耕太撮影

 フェイクニュースという「毒」が世界にはびこっている。昨年の米大統領選を巡っては、不正選挙の情報を信じたトランプ前大統領の支持者が、連邦議会議事堂に乱入する事件も起きた。深刻さを増すこの問題に対し、ヤフーなどの国内インターネット事業者でつくる一般社団法人「セーファーインターネット協会(SIA)」は3月、SNS(ネット交流サービス)などに流通する情報の真偽を検証する「ファクトチェック」の団体設立を検討する方針を表明した。業界一丸となった体制は作れるのか。SIA専務理事の吉田奨(すすむ)さんに詳しく聞いた。【聞き手・後藤豪/経済部】

 SIAの提言は、ヤフー、フェイスブック、グーグル、ツイッターといったIT事業者と、学術関係者で構成する「ディスインフォメーション(偽情報)対策フォーラム」が3月にまとめた。従来のファクトチェックの取り組みを「質量ともに拡充する」とした上で、情報収集からチェック対象の選別、検証、結果の発信まで一体で行う主体について「具体的に検討を進める」と表明している。新聞、テレビなどの伝統的メディアとの協力の重要性や、ネット言論の萎縮を招かないよう注意を呼びかけたのも特徴だ。

 吉田さんはヤフーでコンテンツの安全性の問題に一貫して取り組み、2011年に「インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)」を立ち上げ、初代事務局長として児童ポルノ画像の流通防止活動に取り組んだ、業界キーマンの一人である。

日本でも「早晩深刻な事態に」

 ――真偽不明の情報に対して、SNSやネット掲示板の運営業者は注記を加えるなどの対応を取ることはありましたが、総じて後手に回ってきた印象です。なぜいま、ファクトチェックが必要と考えているのですか。

 ◆連邦議会議事堂の襲撃事件が起きた米国などに比べると、日本の国民はフェイクニュースをまだ切迫したものに感じていないと思います。日本は新聞宅配率が高く、デマが広がれば打ち消すなど、既存の報道機関が有効に機能している面もあるからだと思います。

 一方で、SNSでウソが広がるような様子を目にする機会は増えており、危機感はだんだん高まってきていると思います。人々が以前より新聞を読まなくなったりテレビを見なくなったりする中で、SNSへの依存度や情報の入手の仕方が欧米に似てきているとの指摘もあります。そういう状況で、今までと同じプレーヤーだけで「ちゃんとやっている」と言えるのかどうか。早晩、日本にも深刻な事態が来るであろうとの危機感から、今から準備に入る必要があるというのが現状認識です。

 ――具体的に、どんな情報がファクトチェックの対象になるのですか?

 ◆何を優先的に対象とするかはこれから議論を深める必要があります。既存メディアによるチ…

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