連載

小説「恋ふらむ鳥は」

飛鳥時代の歌人・額田王を主人公に、日本の礎が築かれた変革期の時代を描きます。作・澤田瞳子さん、画・村田涼平さん。

連載一覧

小説「恋ふらむ鳥は」

/284 澤田瞳子 画 村田涼平

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

 【あらすじ】近江京を攻め落とそうと進撃する大海人軍。劣勢に立たされた大友は、知尊の策に望みを託す。それは敵が瀬多橋を渡っている時に橋板を取り去り、川に落とすというもの。知尊は敵を橋におびき寄せるために、大友自身が橋のたもとまで出陣するよう求める。

「拙僧の策に遺漏はないはずですが、それでも敵兵が京(みやこ)に乱入する恐れは皆無ではありません。女子(おなご)や足弱の衆は明日のうちに、長等(ながら)の山城に逃がされた方がよろしいかと」

 瀬多(せた)橋を渡れぬと知った敵は、必ずや近隣の湊(みなと)の船を徴発して、鳰(にお)の海横断を目論(もくろ)もう。それがわずかな手勢だったとしても、宮城に火を放たれでもすれば、京は瞬くうちに大混乱となろうとの知尊(ちそん)の言葉に、額田(ぬかた)は早速、葛城(かつらぎ)の后(きさき)であった倭姫(やまとひめの)王(おおきみ)、大友(おおとも)の母である伊賀(いがの)宅子(やかこの)娘(いらつめ…

この記事は有料記事です。

残り716文字(全文1133文字)

あわせて読みたい

注目の特集