非正規16年 44歳で教員になれた男性が今伝えたいこと

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ウェブ会議システム「Zoom」を通じて取材に応じてくれた山口武さん。今春からは長崎県の五島列島にある公立小学校に勤務している=2021年4月24日
ウェブ会議システム「Zoom」を通じて取材に応じてくれた山口武さん。今春からは長崎県の五島列島にある公立小学校に勤務している=2021年4月24日

 学校には原則1年間しか身分保障のない非正規教員がいる。そんな不安定な立場で教え続けて16年。いったんは年齢制限で正規教員への道が閉ざされたものの、制限が緩和されたことで再び採用試験に挑み、44歳にして夢をつかんだ小学校の先生が長崎県にいると聞いた。何が挑戦を支えたのか。そして、正規採用された今何を感じているのか。取材を申し入れたところ、「全国で頑張っている非正規の先生の励みになれば」と実名で応じてくれた。【大久保昂/東京社会部】

想像していなかった16年間

 「仲良くしてくれる地元の方も増えてきましてね」

 東シナ海に浮かぶ五島列島の小学校に勤める山口武先生(48)は4月下旬の土曜日、ウェブ会議システム「Zoom」でつないだパソコンの画面越しに笑顔を見せた。佐世保市内の小学校から今春、転勤して来たばかり。引っ越しや新年度の準備でバタバタの日々が続いていたが、ようやく落ち着いてきたという。

 2016年度まで16年間、1年ごとに契約を更新する「非正規」の臨時教員だった。まずは、44歳で採用試験を突破するまでの人生を振り返ってもらった。

 佐世保市の出身。沖縄県の大学に進んで教員免許を取得し、故郷の小学校の教員を志した。「小さい頃は学校の先生に怒られてばかりだったけど、子どもと関わるのが好きだったので」。大学4年時から採用試験を受け続けたが、なかなか合格に至らず、卒業後は学習塾の講師や中学校の助教諭のほか、トラック運転手や建設作業員などを転々として食いつないだ。

 初めて小学校の教壇に立つ機会に恵まれたのは01年度だった。年度途中に産休・育休の…

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