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中村文則さん 不可能な「祈り」物語に 新作「カード師」刊行

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=宮間俊樹撮影
=宮間俊樹撮影

 私たちは未来を知ることができない――。小説を通じて人間の暗部や世界の不条理を描いてきた作家、中村文則さんの新作「カード師」(朝日新聞出版)が5月7日に刊行される。カルト宗教の問題を掘り下げた「教団X」など、「人々が見たくない物語」を提示し続けてきた作家が新作に込めたのは、理不尽な世界を生き抜くための「祈り」という。「明日何が起こるか分からないから、絶望することもできない」。そう語る中村さんに、創作にかける思いを聞いた。【関雄輔】

人生も小説も先は分からない

 <主人公の「僕」は、占いを信じていない占師。ある組織から依頼され、殺人もいとわない冷酷な資産家の顧問占師になった彼を、理不尽な出来事が次々と襲う。占いや賭博に使われる「カード」が物語を彩る>

 人間は、はるか古代から、先のことを知れたらどんなにいいか、という願望を持ってきました。生きづらい現実を変えるために未来を知りたい。そんな不可能な「祈り」を物語に書いてみたいと思ったんです。同時に、カードをめくるという行為が生きることに似ているとも考えました。カードは、めくるまで分からない。…

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