「同意なき性行為」罰せない? 埋まらぬ溝、被害者が見た法改正議論

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性犯罪に関する刑法改正を求めて法務省前でフラワーデモをする人たち=東京都千代田区で2021年3月8日午後0時32分、内藤絵美撮影
性犯罪に関する刑法改正を求めて法務省前でフラワーデモをする人たち=東京都千代田区で2021年3月8日午後0時32分、内藤絵美撮影

 性犯罪に関する法改正の要否を議論している法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」が、これまでの議論を報告書案としてとりまとめた。被害者を初めて委員に迎え、犯罪として成立させる必要な条件や公訴の時効などをテーマに、10カ月にわたって意見を戦わせてきた。しかし、その成果として出てきたものは「結論の先送り」を色濃くにじませていた。素早い改善で現実に合った対応ができないのはなぜか。被害者側から見た、その理由とは。【菅野蘭/デジタル報道センター】

文言の考え方、まとまらず

 明治から大正、昭和、そして平成。生活や文化は大きく変わっても、性犯罪を罰する刑法は時代から取り残されてきた。制定されたのは伊藤博文が暗殺される2年前の1907年だが、初めて大幅に改正されたのは2017年だった。暴行や脅迫によって性行為をする「強姦(ごうかん)罪」を「強制性交等罪」と改称し、最も短い刑の期間は3年から5年に引き上げた。被害者は女性に限定されていたが、男性も含めたほか、被害者の告訴がなくても加害者を起訴できる仕組みにした。

 しかし、実に110年もほぼ放置されていたのだから、目の前の課題全てを一気に解決できるように更新するのはさすがに難しかったようだ。3年後に性被害の実態を踏まえ、さらに見直すかどうか考えることを改正法に付け加えた。その結果は予想した通り、と言ってもいいのだろうか。多くの被害者が、改正後も「加害者が適切に処罰されない」と不満を抱いたままだった。19年3月には4件の性犯罪事件で無罪判決が相次ぎ、全国各地で抗議と性暴力の根絶を訴える「フラワーデモ」が広がった。

 20年6月、被害の実態調査を経て再改正の要否を検討する作業が始まった。今回の検討会から、被害者の代理人を務める弁護士や心理職といった支援者だけでなく、被害者本人もメンバーに加わった。被害者側の立場で参加したのは、17年の改正につながった報告書を出した前回の検討会では12人のうち2人だけだったが、今回は17人中5人になった。

 やや被害者寄りになったパワーバランスは、結果に影響を与えたのか。前提として「性…

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