ダウン症児の新米ママ応援の冊子 不安でも「ありのままで」伝え

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インスタグラムでつながった石山裕未さん(中央)ら母親たち。コロナ禍でなかなか会えないが、4月上旬には子どもたちを公園に連れ出し近況を語り合った=千葉県柏市で 拡大
インスタグラムでつながった石山裕未さん(中央)ら母親たち。コロナ禍でなかなか会えないが、4月上旬には子どもたちを公園に連れ出し近況を語り合った=千葉県柏市で

 ダウン症の子どもを授かった新米ママに、「大丈夫だよ」と伝えたい――。ダウン症児を出産した母親らが、我が子が1歳を迎えるまでの気持ちをつづった冊子「1st Birthday Message」を作成した。障害児を育てる不安を抱いたり、周囲の偏見を気にして素直に喜べなかったりした時があっても、「ありのままでいい」と発信する。作成に関わった母親らは「つらい時にそっと寄り添える冊子になれば」と願っている。【南茂芽育】

東京都足立区、希望者に配布

 冊子の発案者は2018年にダウン症の女児を出産した千葉県柏市の石山裕未さん(38)。一般的な育児書が参考にならず、写真投稿アプリ「インスタグラム」で「#ダウン症」と調べたところ、他の母親たちが成長の様子を投稿しているのを発見し、連絡を取って会うようになった。

 他の母親たちが子どもの1歳の誕生日を機に1年間を振り返る投稿内容の力強さに励まされたといい、「新米ママたちに自分の経験を届けられたら」と今年1月に冊子の作成を決意し、クラウドファンディングで費用を募って3月に完成させた。冊子は40ページで、赤ちゃんの写真と共に12人の母親たちのこれまでの葛藤や1歳を迎えた喜びなど、それぞれの率直な思いがつづられている。

 「人生で間違いなく一番濃い1年でした」と振り返るのは千葉県の女性(46)。18年に息子が産まれた際にダウン症と告げられた時は、「どん底に突き落とされた」という。16年に相模原市で障害者らが犠牲になった殺傷事件で優生思想のことを知っていたため、ネットで「障害者は要らない」という心ない書き込みを見ては「産まなきゃ良かったのかな」と悩んだ。

 しかしインスタで他のママたちと知り合い世界が広がった。周囲の視線を気にしていたが、散歩中に「かわいいね」と声をかけてくれる人もいて、気づいたら我が子がいとおしくてたまらなくなっていた。他の子よりちょっと手足が短くても、かわいい個性。今は「子育てをしていたらどんな人でも悩む時が来る。私たちはその時がちょっと早かっただけ」と思っている。

 ダウン症は心臓病などさまざまな合併症を伴うことがあり、風邪から肺炎になることもある。石山さんの子どもも心臓の手術を経験している。石山さんは「今でも心臓が壊れたらどうしようと不安になることはある」としつつも、「健常児でも『明日事故に遭うかも』と思い続けながら育てないでしょう。心配は一旦置いておくことにした」ときっぱりと言う。

 冊子にメッセージを寄せた足立区の女性(39)は「自分の子がダウン症だと嫌だと思うのは、社会がダウン症のことをよく知らないから。(孤立し)閉じられた世界にいがちなママたちに、こっちの世界も楽しいよ、と伝えられる冊子になれば」との思いを込める。

 障害児やその家族への支援を進める同区では、保健師がダウン症の新生児宅を訪問する際、希望者にこの冊子に配布している。冊子の問い合わせは(1stbirthdaymessage@gmail.com)まで。

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