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まいにちボードゲーム

日本ではゲームといえばテレビやスマホがメインですが、近年、対面で行う非電源ゲームも注目を集めています。人気のボードゲーム・カードゲームを紹介します。

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ランカスター 能力差がある駒を使いこなそう

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15世紀イングランドの貴族となり、ヘンリー5世の強力な同盟者を目指す「ランカスター」 拡大
15世紀イングランドの貴族となり、ヘンリー5世の強力な同盟者を目指す「ランカスター」

ワーカープレースメント②

九つの州や自分の城、紛争地などに騎士駒を置いていく 拡大
九つの州や自分の城、紛争地などに騎士駒を置いていく

 前回に引き続き現代ボードゲームの一大メカニクス「ワーカープレースメント」です。簡単に復習すると、「ワーカー(労働者)」をアクションスペースに「プレース(配置)する」ことでゲームを進めていく仕組み。やりたいことを早い者勝ちで決めていくのが基本です。前回紹介した「アグリコラ」などでは、ワーカーの役割は均一でしたが、今回の2作品はワーカー間に能力差があります。

騎士駒には兵力が設定されており、州に置いた兵力1の騎士駒は兵力2の駒にはじき出されてしまう 拡大
騎士駒には兵力が設定されており、州に置いた兵力1の騎士駒は兵力2の駒にはじき出されてしまう

兵力少なければ押し出され

 「ランカスター」の舞台は、15世紀のイングランド。プレーヤーは野心的な貴族の家長として、ランカスター朝の絶頂期を築いたヘンリー5世(1387~1422年)の信頼を勝ち取ろうします。この作品のワーカーは騎士駒。騎士を派遣できるのは①九つの州②自分の城③紛争地――の3エリア。②の自分の城以外の場所、州や紛争地に置く場合は騎士駒の兵力が問題となります。

 お金や新たな騎士駒など州ごとに報奨がもらえるのですが、後の手番のプレーヤーが自分より大きな兵力の騎士駒置いた場合、自分の駒は押し出されてしまうのです。誰も欲しがっていなさそうな州だからと兵力1の騎士駒を置いたら兵力2を置かれてはじき出されたり、みんなが狙っているからと張り込んで兵力3を置いたら他人は無関心、なんて裏目裏目に出ることも。

 騎士駒は最大7個(兵力1が3個、兵力2が2個、兵力3、兵力4が各1個)まで持てますが、いきなり兵力3や4を得ることはできず、一つずつ兵力を上げていかなくてはなりません。計画的に騎士駒を増やし育てることが重要です。

戦争も議会対策も重要

フランスとの紛争地。先に置くと国王からのボーナスがもらえるが、後から置く方が貢献度が高く評価される 拡大
フランスとの紛争地。先に置くと国王からのボーナスがもらえるが、後から置く方が貢献度が高く評価される

 百年戦争(1337~1453年)を再開させたヘンリー5世の統治下らしく、紛争地は毎ラウンド2カ所登場。全プレーヤーが置いた騎士駒の兵力の合計が、交戦相手のフランス以上だったら勝利。この部分は協力ゲームっぽいですね。貢献度に応じて勝利点がもらえるのですが、兵力が同じ場合、後から騎士駒を置いた方が有利に。でも先に置くと国王の恩恵というボーナスをもらえるので悩ましい。

点数を取るには、自分にとって都合の良い法案を議会で通さなければならない 拡大
点数を取るには、自分にとって都合の良い法案を議会で通さなければならない

 ワーカープレースメントとは無関係ですが、この作品のもう一つの焦点が「議会」。議会を軽視してプランタジネット朝を滅ぼしたリチャード2世(1367~1440年)の轍(てつ)を踏まぬよう、議会対策が大事なのです。毎ラウンド三つの法案が新たに提示され、プレーヤーは賛成か反対かの投票を行います。法案に記載された条件によって勝利点や資源がもらえるので、自分に有利な法案を通し、不利な法案を葬り去りたいところ。投票の際、投票マーカーを持っていると投票権が増えるので、事前に州や城で手に入れたい。でも騎士駒は有限だし。あれこれ悩みは尽きないゲームですが慣れれば1時間程度でサクッと終わるのも好印象です。

サイコロで決まる一族の能力

ルネサンス期フィレンツェの貴族となり、名声を得ることを目指す「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」。箱絵のロレンツォは妙にうつろな目ををしている 拡大
ルネサンス期フィレンツェの貴族となり、名声を得ることを目指す「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」。箱絵のロレンツォは妙にうつろな目ををしている

 ルネサンス期のフィレンツェを舞台とした「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」もワーカーに能力差が付けられているのですが、「ランカスター」とは違うアプローチを取っています。

 政治家、外交官、そして芸術の擁護者としてメディチ家最盛期の当主だったロレンツォ・デ・メディチ。ロレンツォの名前を持つメディチ家の人間は他にもいたため「ロレンツォ・イル・マニーフィコ(偉大なるロレンツォ)」と呼ばれました。プレーヤーはフィレンツェの貴族として、偉大なるロレンツォをお手本に家名を高めることを目指します。領土を征服し建物を建てたり事業を展開したり。そのために一族駒を派遣します。

一族の派遣先は、カードを得る四つの塔▽収穫▽生産▽お金や商品を得る市場▽恩恵を得て次ラウンドのスタートプレーヤーになれる評議会--の5種類 拡大
一族の派遣先は、カードを得る四つの塔▽収穫▽生産▽お金や商品を得る市場▽恩恵を得て次ラウンドのスタートプレーヤーになれる評議会--の5種類

 筒型の一族駒はプレーヤーごとに4個。無彩色の駒を除いて上部になにやらシールが貼られています。スタートプレーヤーが3色サイコロを振ってラウンド開始。このサイコロの色と一族駒の色がリンクしているのです。写真の例で言うと、今回の黒い駒のパワーは3、白は2、オレンジは1ということになります。

一族駒のパワーは毎ラウンド初めに振られるサイコロの目に対応。この場合黒いマークの駒は3、白は2,オレンジは1となる。無彩色の左端の駒は常にパワー0で使用人の助けがなければ何もできない 拡大
一族駒のパワーは毎ラウンド初めに振られるサイコロの目に対応。この場合黒いマークの駒は3、白は2,オレンジは1となる。無彩色の左端の駒は常にパワー0で使用人の助けがなければ何もできない

使用人の助けを借りて

 アクションスペースごとに要求される一族駒のパワーが決まっています。各種カードが取れる塔の場合、1階は「1」、2階は「3」、3階は「5」、4階は「7」のパワー値以上が必要。えっ?サイコロの目は「6」までしかないのに。となりますが、使用人駒を支払えばパワーが増加。塗装されていない無彩色の一族駒は毎ラウンドパワー「0」という無能者ながら、使用人の助けを借りればなんとか任務をこなすことができるのです。

一族駒のパワーによって置けるアクションスペースが制限される。スペース下部に書かれたサイコロの目以上のパワーが必要で、この場合3以上 拡大
一族駒のパワーによって置けるアクションスペースが制限される。スペース下部に書かれたサイコロの目以上のパワーが必要で、この場合3以上

 サイコロの出目に対応するパワーは各プレーヤー共通。リソース(資源)はお金と木材、石材、使用人だけ。どのタイミングで有能な一族をどこに送り込むか、使用人を含めたリソースをどう管理するか。綿密なマネジメントが求められる骨太な作品です。あなたも「偉大なるロレンツォ」に続くことができるでしょうか? 【野地哲郎】=次回は5月22日掲載

個人ボードにカードを配置。領地や建物を増やし、人物の協力を得て事業を展開する。後半になればなるほど1アクションで得られるものが多くなる 拡大
個人ボードにカードを配置。領地や建物を増やし、人物の協力を得て事業を展開する。後半になればなるほど1アクションで得られるものが多くなる

◇「ランカスター」データ

 2~5人用◆所要時間60分◆10歳以上対象◆マティアス・クラマー作◆2011年初版

「ロレンツォ・イル・マニーフィコ」データ

 2~4人用◆所要時間60~120分◆12歳以上対象◆ヴィルジーニョ・ジーリなど作◆2016年初版

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