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安全神話、エビデンスで斬る(その1) 原子力廃絶「自粛せぬ」

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明治学院大学で講演する元京大原子炉実験所の小出裕章さん=東京都港区で2021年4月18日、長谷川直亮撮影
明治学院大学で講演する元京大原子炉実験所の小出裕章さん=東京都港区で2021年4月18日、長谷川直亮撮影

 「原子力の場」に身を置きながら原子力廃絶のための研究を続けてきた。元京都大原子炉実験所(現・複合原子力科学研究所)助教の小出裕章さん(71)は4月18日、移住先の長野県松本市から東京都港区の明治学院大を訪れた。「原発の終わらせ方」をテーマに講演するためだ。約80人を前にこう切り出した。

 「ウイルスがまん延する中、よくおいでくださいました。私は町外れで『仙人生活』をしています。模範的な自粛生活だと思っていますが、感染拡大を防ぐ以上に原子力を止めることはもっと重要だと思っているので、そのための行動は自粛しないと決めています」

 この国では現在、二つの緊急事態宣言が発令されている。新型コロナウイルスの感染拡大で4月25日から4都府県に発令された3度目になる緊急事態宣言。もう一つが、東日本大震災での東京電力福島第1原発事故に伴い発令され、いまだ解除されない原子力緊急事態宣言だ。小出さんは雑誌への寄稿や近著で国の新型コロナ対策には原発政策と共通するものがあると指摘する。その一例として政府の旅行需要喚起策「GoToトラベル」を挙げる。

 事業を始めた昨年7月22日の感染者数は795人で、第1波のピーク(694人)を上回った。だが、政府は人の移動が感染拡大につながるエビデンス(根拠)はないとの理由で年末まで継続した。そして福島第1原発事故も――。

 小出さんは…

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