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余録

毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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昭和の時代には…

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 昭和の時代には、洋画でも洋楽でも原題に忠実とはいえない邦題がつけられることが少なくなかった。洋楽でいえば、ビートルズの「抱きしめたい」や「涙の乗車券」、ローリング・ストーンズの「一人ぼっちの世界」「悲しみのアンジー」などがそうだ▲レコード会社の担当者が頭をひねった日本語のタイトルには原題以上に心に響くものもある。英国映画「小さな恋のメロディ」(1971年)に使われたビージーズの「若葉のころ」もその一つではないか。原題の「ファースト・オブ・メイ(5月1日)」より甘いメロディーに合い、季節感がある▲90年代にこの曲を主題歌に使った日本のテレビドラマのタイトルは「若葉のころ」だった。主題歌の原題をタイトルにした台湾映画「5月1号(1日)」(2015年)は、日本公開時に題名を「若葉のころ」に変えた。曲名が定着し他のタイトルを使えなくなったわけだ▲5月に入り、若葉の緑が目にしみる季節になった。コロナ禍で昨年に続いて東京や大阪などに緊急事態宣言が出され、大型連休中も遠出できる状況ではない。それでも近所を散歩するだけで新緑があふれているのを実感する▲今年は連休明けまで全国的に天候が安定せず、寒暖差も大きいという予報だ。俳句の季語にも「若葉寒(さむ)」や「若葉冷(びえ)」があるから珍しいことではあるまい▲感染を広げないためにもステイホームを心がけて音楽鑑賞や読書にいそしむのが上策か。「ゆっくりと 一人の点前 若葉冷」(高畑浩平)

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