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滝野隆浩の掃苔記

社会部・滝野隆浩専門編集委員のコラム。

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滝野隆浩の掃苔記

「安楽死」のメッセージ

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 <滝野隆浩の掃苔記(そうたいき)>

 橋田寿賀子さんが95歳で亡くなって、まもなく1カ月がたつ。親しかった人たちが新聞で思い出を語り、NHKは追悼番組を放映した。一方私は、5年前の「文芸春秋」に載った寄稿のタイトルを反すうしていた。「私は安楽死で逝きたい」である。

 名作ドラマ「おしん」や「渡る世間は鬼ばかり」で知られる脚本家が、直接的に「死に方」を表明した影響は大きかった。以後、安楽死について語る人が増えた。最近は現役の医師が小説のテーマにし、正面から取り上げた漫画も話題になった。

 橋田さんの文春新書「安楽死で死なせて下さい」を改めて読んでみた。昭和という時代が始まる前の年に生まれた「元軍国少女」は、戦争や権威というものを徹底的に憎んだ。女性差別のひどかった映画界を飛び出し、テレビの世界で、その時々の時代の空気を取り込んだ脚本を書き続けた。「NHKの朝ドラを四本、大河ドラマを三本、『渡鬼』を二十年で五百回書いた」という。早くに夫と死別し、子供はいない。そうして考えた。「人に…

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