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大学スポーツ365日

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同志社大ラグビー部、聖域「自由」も問い直す111年目の改革

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紺とグレーの伝統のジャージーを身にまとい関西セブンズフェスティバルでプレーする同志社大の選手たち=大阪市で2021年4月11日午後3時18分、長宗拓弥撮影
紺とグレーの伝統のジャージーを身にまとい関西セブンズフェスティバルでプレーする同志社大の選手たち=大阪市で2021年4月11日午後3時18分、長宗拓弥撮影

 新たな王者が誕生し、歴史が塗り替えられた1月の全国大学ラグビー選手権に、ジャージーの色から「紺グレ」と呼ばれる同志社大の姿はなかった。全国での勝利は5年も遠ざかる。かつて「ミスターラグビー」と呼ばれた平尾誠二さん(2016年死去)らを擁し、「自由」と「個性」を旗印に一時代を築いた名門は今、岐路に立つ。復活を期し、伝統の自由とは何かをも問い直す、聖域なき111年目の改革に乗り出した。

 天理大が初優勝し、関西勢として36大会ぶりに頂点に立った大学選手権。部員38人が新型コロナウイルスに集団感染した同志社大は20年12月、大会直前に出場を辞退した。約2カ月の自粛期間を挟んで活動を再開し、新体制のスタートに当たり、1911年の創部以来初めて「共同主将制」を採用した。就任2年目の伊藤紀晶ヘッドコーチ(HC、50歳)は「FW、バックスに分け、役割分担をした方が試合にも練習にも集中できると思った」。ラグビー界では近年、複数の主将を据えるチームは多い。FWの中心、ロックの南光希(みつき、21歳)と、バックスの軸、SOやSHを担う田村魁世(かいせい、21歳)。2人の4年生に大役が託された。

 4年生部員で話し合い、今季のスローガンは「LINK」(リンク)に決めた。新型コロナもあって希薄になってしまった部員間のつながりや一体感の醸成へ思いを込めた。部室など至る所に「日本一は目標ではなく、使命であり責任である」との張り紙を掲げた。近年の不振を踏まえて現実的な目標に見直す案も出たが、志は捨てなかった。田村は「ずっと優勝から遠ざかって目標を達成できていない。昨年もあんな形で終わってしまった……。僕たちもラストイヤーなので絶対勝たないといけない」と決意を口にする。

 過去4度の頂点に立った大学選手権で最後に挙げた勝利は、16年12月の準々決勝までさかのぼらなければならない。17、18年度は初めて2年連続で出場を逃した。19年度は初戦の3回戦で筑波大に大敗した。1位が定位置だった関西リーグでの優勝も15年度が最後で、現役部員は全国での勝利も関西優勝も知らない。南は「正直、同志社が優勝したのはだいぶ前。伝統あるチームなので誇りに思っているが……」と語る。99年生まれの南は、チームの黄金期を直接は知らない。

自由と個性が輝いた栄光の歴史

 同志社ラグビーを語る上で外せないキーワー…

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