少女に密着26年 獣医への夢追う記録映画、テレビ新潟で初放映

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ドキュメンタリー映画「夢は牛のお医者さん」の1シーン=テレビ新潟提供 拡大
ドキュメンタリー映画「夢は牛のお医者さん」の1シーン=テレビ新潟提供

 獣医師の夢をまっすぐに追い求めた少女の26年間に密着したドキュメンタリー映画「夢は牛のお医者さん」が7日午後6時15分から、テレビ新潟で初放映される。2014年に公開され、第24回日本映画批評家大賞などを受賞した作品。時田美昭監督(61)は「誰もが前向きになれる映画。コロナ禍だからこそ見てもらいたい」と思いを込めた。【内田帆ノ佳】

 1987年、テレビ新潟報道記者だった時田監督が、新潟県旧松代町(十日町市)の小学校に「入学」した3頭の子牛を取材。当時小学3年生の高橋知美さん(42)と出会い、物語が始まる。以来、高校生活、大学受験、国家試験と撮影は26年に及んだ。

被災地でとぼとぼ歩く男児の姿見て製作決める

テレビ初放送の映画「夢は牛のお医者さん」のポスターと時田美昭監督=新潟市のテレビ新潟で、2021年4月30日午後2時57分、内田帆ノ佳撮影 拡大
テレビ初放送の映画「夢は牛のお医者さん」のポスターと時田美昭監督=新潟市のテレビ新潟で、2021年4月30日午後2時57分、内田帆ノ佳撮影

 当初「牛のお医者さんになりたい」と話す知美さんの夢を聞き流していた時田監督。月日は流れ、高校生になった知美さんに再会した際、夢に向かって猛勉強する姿を目の当たりにした。夢を聞き逃していたことへの反省と「彼女の夢を信じてみたい」との一心で密着取材を決意した。

 知美さんはその後、努力が報われ、獣医師免許を取得。特別番組で「知美さんの夢がゴールしました」とナレーションをつけ、放送した。「やっと夢のスタートラインに立てた。一人前の獣医師になることが目標」と話す知美さんに、さらに10年の取材を打診したという。

 時田監督は「知美さんに元気づけられていたのは自分。彼女からも『時々放送を見直して元気づけられていた』と聞いた」。信頼関係の厚さが26年にわたる取材につながった。

 映画製作のきっかけは11年の東日本大震災。時田監督が被災地の宮城県南三陸町に中継の応援で駆けつけた際、小学生の男の子がとぼとぼと1人で歩いている姿を目にした。「あの男の子が前向きになるような作品を届けたい」と製作に踏み切った。

 作品は「小学生が理解できるように」という思いから、ドキュメンタリー映画としては短い86分間。老若男女問わず幅広い層の心をとらえた。

 今回の放映は、映画にはなかった初公開シーンも見どころ。「たくましく生きる知美さんを通して、働く喜びを感じ取ってもらえれば。主人公は普通の女の子。自分に重ね合わせて見てほしい」と作品への深い愛情をのぞかせた。

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