安藤忠雄さん 子どもたちへ「人生100年『設計』してほしい」

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「森の中の家」の前で講演する安藤忠雄さん=京都府京丹後市久美浜町で2021年5月3日午後0時15分、塩田敏夫撮影 拡大
「森の中の家」の前で講演する安藤忠雄さん=京都府京丹後市久美浜町で2021年5月3日午後0時15分、塩田敏夫撮影

 京都府京丹後市久美浜町の「森の中の家 安野光雅館」前の庭園で3日、建築家の安藤忠雄さんが講演した。日本は「人生100年時代」を迎えたと語り「日本は今、ものすごい勢いで変わっている。自分で人生を組み立てられる子どもを育てていかねばいけない」と呼び掛けた。【塩田敏夫】

 「森の中の家」は安藤さんが設計した美術館で「心温まる作品を描かれた安野さんと話し合いながら、この美術館を造った」という。安藤さんは「私が産んだ(設計した)美術館だから育てる」と宣言し、継続的に訪れては講演会を開催しており、今回で4回目。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が府に発令されているが、同館は規模が小さいため、休業要請の対象とはなっていない。

 講演で安藤さんは、子どもについての話から切り出した。

 例えば、リンゴを見た3歳の子どもは「アップル」と英語で言うという。幼い時から英語を勉強しているためだ。安藤さんは「日本語で『リンゴ』と言えばいいのに」と不思議がり、幼児教育に疑問を抱いたという。

 また、背中に12キロ、両手に1キロずつの勉強道具を持った子どもと出会ったエピソードを紹介。その子のお母さんに「お子さんをプロレスラーにするつもりですか」と尋ねたが「いいえ」と答えられ、安藤さんは「そんなに勉強しないと、一流大学に行けないものなのか」と感じたという。

 安藤さんは、記憶力を重視する学習で「他国と太刀打ちできるだろうか」と疑問を呈した。その上で、日本の子どもがスマートフォンに使う時間を今の半分にして「『森の中に入って遊ぶ時間』を大切にしてほしい」と呼び掛けた。

 更に、安藤さんは「日本の国の失敗」という持論を展開した。「これほど日本人が長生きするとは誰も思わなかった。国は55歳で定年を迎え、65歳で亡くなるということでやってきた」と指摘。「今や人生は100年時代となり、自分で人生を組み立てることが必要となった。多くの人が時々、メンテナンスをしながら100歳まで生きていかねばならない時代となった」と現実を突き付けた。

 最後に、安藤さんはがんのため膵臓(すいぞう)など多くの臓器の摘出手術を受けた経験を振り返った。がんの手術後も仕事をし、仕事を終えると毎日、アスレチックに行っているという。「コロナ禍がこれからどうなるか分からない。コロナの時代をどう生き延びるかだが、その時々に合わせてうまくバランス良く生きていくしかないと思う」と語った。

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