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国会で入管法改正案の審議が続く中、直木賞作家の中島京子さん(57)が小説でこの問題を正面から問うている。スリランカ人男性と日本人シングルマザーが、男性の入管収容や在留資格をめぐる裁判を乗り越え、新しい家族を生み出していく物語だ。この小説「やさしい猫」は読売新聞の夕刊で連載され、近く単行本化される。なぜ、この重いテーマを書こうと思ったのか。「人権侵害」と批判されることもある入管行政にどんな思いを抱いているのか。オンラインで話を聞いた。【和田浩明/デジタル報道センター】
「題材に呼ばれ」入管問題の小説執筆
――このテーマを書こうと考えた理由は?
◆日本の入管行政の問題に関心を持つようになったのは3、4年くらい前だったと思います。フェイスブックでつながりのある友人などが問題点を指摘しており、長期収容で心身を病む人が多く、自殺したり病死してしまったりした方が少なくないことなど、深刻な状況を知ることになりました。
そんな中、新聞小説の連載の話があり、外国人男性と日本人シングルマザーの恋愛を書きたいと思いました。しかし、入管をめぐる問題は非常に複雑で大きいので、当初は扱いきれるか自信がありませんでした。
そこで2年前の夏ごろから、この問題に詳しい弁護士や当事者など関係者の方に詳しくお話をうかがいました。その結果、思っていた以上に大変なことが起きていると感じました。同時に「題材に呼ばれた」とも感じたのです。小説家をやっていて、何度かあったことです。話を聞いてしまった以上、書いた方がいい、と決めました。
「今後も収容中の死が出かねない」
――当事者取材について教えてください。
◆東京出入国在留管理局(東京都港区)や東日本入国管理センター(茨城県牛久市)を訪れ、収容されている外国人に面会して話をうかがいました。長期間収容されていたアフリカ出身の難民申請中の女性は「突発的に死にたくなることがある」と話していました。収容に抗議してハンガーストライキを行っている人たちにも会いました。収容者が施設内で多数の入管職員に「制圧」されている映像なども見ました。
施設内の医療体制が知りたくて、健康上の理由から一時的に収容を解かれた仮放免者に「具合が悪くなったら医務室に行けば診てもらえるのですか」と聞くと、笑いが返ってきました。「なんてことを聞いているの」という感じでした。「診療の申請をして、受けられるのは早くて2週間。風邪ならその間に治るかもしれないけれど……」と教えてもらいました…
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