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皇位継承の議論 平行線のままでいいのか

 安定的な皇位継承を巡る議論が政府の有識者会議で始まった。専門家からの意見聴取を行っているが、女性・女系天皇を認めるかどうかで意見が割れ、議論は平行線をたどっている。

 今回の議論は4年前、天皇退位を認める特例法の付帯決議に、安定的な皇位継承の課題について「法施行後速やかに検討」と記されたことを受けたものだ。

 現制度では皇位継承資格を持つのは男系男子に限られている。天皇陛下より若い資格者は、継承順位1位の秋篠宮さまと長男悠仁さま(14)だけしかいない。

 にもかかわらず議論が進まないのは、天皇像を巡る意見の隔たりが大きいからだ。保守派は、天皇の本質は祭祀(さいし)をつかさどることだと主張している。祭主の地位が男系で継承されてきた伝統を重んじている。

 だが現行憲法は1条で、天皇を「日本国民統合の象徴」と定める。被災地や地方の訪問など国民と交流する公的行為は、憲法に規定はないが、象徴としての役割を果たすうえで重要だ。

 2年前の退位礼正殿の儀で、上皇さまは「象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します」とおことばを述べられた。天皇陛下もこうした姿勢を継承され、国民との交流を深めている。

 新型コロナウイルス禍で人との接触が限られ、天皇としての活動にも影響が及んでいる。陛下はオンラインも活用するなど時代に合った公務を続けている。

 今年の新年一般参賀は中止になったが、皇后雅子さまと一緒にビデオメッセージを発表し、新しい交流の形を示した。

 小泉政権が2005年に女性・女系天皇を容認する報告書を出してから、既に15年が過ぎた。世論調査では女性天皇を容認する意見が7割前後にのぼるが、この間、自民党政権は議論を避けてきた。

 女性皇族は結婚で皇室を離れるため、今後、悠仁さまと同世代の皇族がいなくなる可能性がある。公務の担い手が減れば、国民が皇室と接する機会も少なくなる。

 象徴としての天皇像は、国民と共に作り上げるものだろう。将来にわたって継承していくには、国民に開かれた議論が求められる。

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