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小説「恋ふらむ鳥は」

飛鳥時代の歌人・額田王を主人公に、日本の礎が築かれた変革期の時代を描きます。作・澤田瞳子さん、画・村田涼平さん。

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小説「恋ふらむ鳥は」

/286 澤田瞳子 画 村田涼平

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 短い秋の日が落ち、篝火(かがりび)が煌々(こうこう)と焚(た)かれても、宮城のざわめきは高まる一方。おかげで自室に引き揚げ横になっても、どうにも目が冴(さ)えてならない。輾転(てんてん)反側(はんそく)を繰り返すうちにわずかにまどろみはするが、すぐまた深い井戸の底から這(は)い上がるかのように目が覚める。とはいえ今、眠らねば、次に屋根のある場所で横になれる日はいつか分からない。そう自分に言い聞かせて額田(ぬかた)が目を閉じた時、

「あと半刻で瀬多(せた)川に向かうぞッ。みな支度を整えろッ」

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