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国民投票法改正で合意 CM規制先送りは疑問だ

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 憲法改正の手続きに関する国民投票法の改正案が、今国会で成立する見通しとなった。

 改正公職選挙法に合わせて、駅や商業施設に投票所を設置したり、期日前投票の時間を柔軟に設定したりできる内容だ。

 対立点は、改憲に賛成、反対の両陣営が国民に支持を呼び掛けるCMの規制だった。施行後3年をめどとした法制上の措置を付則に盛り込むよう立憲民主党が提案し、自民党が受け入れた。

 CM規制は、3年前に改正案が提出された時からの課題だった。だが今回、具体的な規制は盛り込まれず、先送りされた。

 投票に際して国民が冷静に判断を下すには、バランスの取れた情報提供が欠かせない。

 「大阪都構想」の住民投票では、資金力のある団体がテレビCMを大量に流し、問題視された。昨秋の米大統領選では、対立陣営を不正確な情報で攻撃するインターネット上の政治広告があふれた。

 公平・公正な投票の環境を整えるには、どのような規制が適切か。具体的な結論を出すことが、国民投票を実施する前提条件だ。

 合意の背景には与野党の打算がうかがえる。改正案の成立によって、自民党は改憲を求める保守派に一定の成果をアピールできる。一方、改憲に慎重なリベラル派を抱える野党には、CM規制などの検討が続く間は、国民投票の実施を先送りできるとの目算がある。

 改憲に前のめりな姿勢を打ち出し、それを野党との対立軸にしようとした安倍晋三前首相が退陣したことで、与野党が妥協できる余地が生まれた。

 しかし自民党保守派には、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、改憲を加速させたい思惑がある。下村博文政調会長は憲法記念日の集会で「ピンチをチャンスと捉えるべきだ」と述べ、緊急事態条項を盛り込む改憲を促した。

 危機に乗じて改憲ムードをあおるのは危険だ。憲法が保障する個人の自由と、社会の安全とのバランスをどう取るか。冷静にじっくりと議論すべきだ。

 憲法改正には、国会議員の3分の2以上による発議と国民投票での過半数の賛成という幅広い合意が必要となる。自民党は対決姿勢を改める時だ。

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