学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書が改ざんされた経緯を記したとされる「赤木ファイル」の存在を国が認めた。
改ざんに加担させられたとして自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さんがまとめた文書だ。妻が昨年3月、国などを相手に訴訟を起こし、開示を求めていた。
国側は「回答の必要がない」「探索中」などと文書の存否を明らかにしてこなかった。
裁判所の求めでようやく存在を認めたが、これまで隠蔽(いんぺい)してきたと受け止められても仕方がない。
国側は今後、ファイルを開示する方針という。ただ「公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」箇所などは「黒塗り」にすると説明しており、全面開示にはならない見通しだ。
森友問題の発端は、国有地が異例の安値で売却されたことだ。
財務省は鑑定価格から約8億円値引きした理由を、大量のごみの撤去費などがかかるためと説明してきた。
森友学園と安倍晋三前首相の妻昭恵氏との関わりも表面化した。国会で追及された安倍氏は、大幅な値下げ売却などについて「自分や妻が関与していたら首相も国会議員も辞める」と言い切った。改ざんはその後に始まった。
財務省の調査報告書によれば、当時理財局長だった佐川宣寿氏が改ざんを主導したというが、動機は不明で、指示系統もはっきりしていない。
麻生太郎財務相は動機について「それが分かれば苦労しない」と人ごとのように語った。
ファイルには上司の詳細な指示内容や改ざん前後の記録がまとめられているという。赤木さんの元上司は妻に「これを見たら我々がどういう過程で(改ざんを)やったのか全部分かる」と話した。
改ざん問題の解明には、赤木ファイルの全面開示が不可欠だ。
森友問題の政府対応に国民の不信は根強い。昨年6月には、第三者委員会による調査を求めて約35万筆の署名が政府に提出された。
赤木ファイルの存在が確認された以上、ごまかし続けることは許されない。
森友問題は終わっていない。政府は再調査すべきだ。