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私が思う日本

東京に駐在する外国メディアの特派員たちが見た日本の姿を伝えます。

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「昭和の街」こそ観光資産 破壊と再建から脱却を

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石巻市中心部にある昭和初期の建造物「旧観慶丸商店」(中央)=宮城県石巻市で2021年5月7日午後6時、百武信幸撮影。石巻駅周辺は今も昭和の風景をとどめる
石巻市中心部にある昭和初期の建造物「旧観慶丸商店」(中央)=宮城県石巻市で2021年5月7日午後6時、百武信幸撮影。石巻駅周辺は今も昭和の風景をとどめる

 東京に駐在する外国メディア特派員の目に、私たちの社会はどう映っているのだろうか。韓国、フランス、米国、バングラデシュの個性豊かな記者たちがつづるコラム「私が思う日本」。第6回はルモンド紙(フランス)のフィリップ・メスメール東京特派員が、日本の観光について取り上げる。

ルモンド紙 フィリップ・メスメール東京特派員

 日本国内の各地を訪れる観光客の統計をみると、日本人も外国人も、東京や大阪、京都、奈良などの人気スポットにいつも集中していることが分かる。この傾向は、理解できる。これらの地域は観光資源に恵まれた場所として既に名声が高く、交通の便も良く、さらにいえば、日本人も外国人もこれまで、奈良時代から江戸時代の古い街並みに魅了されてきたからだ。

 最近では、明治時代の産業遺産がユネスコの世界遺産に登録されるなど、もう少し新しい時代にも関心が向けられるようになっている。新しい観光地を切り開き、売り込むことは訪問客の増加につながり、過疎化が進む地域の経済を活性化させる点でもすばらしい。

 政府もこうした考えから、2011年3月の東日本大震災の被災地を復興させるため、観光に力を入れている。プロモーターは福島県の山間の会津若松市や、岩手県の平泉の寺院群などを前面に押し出している。

 だが、より新しい時代のものではあるものの、同じように魅力的な多くの場所が忘れられていることが残念だ。それは昭和の建築物だ。私は宮城県石巻市に足を運び、10年間にわたってルポルタージュを書いてきた。その中で、この被災地の再建事業が、街の中心部から離れた場所に集中していることに気付いた。商工業の豊かな歴史を持つ中心部が取り残されているのだ。

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